第百六十二話 蠍の大群
短いっす
ゴクラクは海に面した地域ではない。しかし、この街には大きな港がある。それはなぜか、簡単だ。大きな川の流域で栄えた地域だからだ。そうして、海運業の周りにはヤクザが群がる。当たり前だ、日本においても港湾利権の周りをつつくのはタブーとされている。
ただし、今の俺たちにはそんなこと関係ない。
船着場へ着いた俺たちは、そこに立ち並ぶ倉庫の中の一つが騒がしいことに気がつく。俺たちはソッと入り口へ近づいて中の様子を伺う。なかからは下品で聞くに耐えない会話が聞こえてくる。数は二、三十人といったところだろうか。
「ギャハハ!!!だから俺はよお、その『雌犬通り』のクソ女に言ってやったんだよ!!『てめえの具合が悪いから金は無しだ』ってな、そうしたら女がよお、自分のガキにひもじい思いさせてるからせめてそいつの食費分だけでも金をくれって泣くもんだからよお..........ぶっ殺してやったぜ」
「ギャハハ!!!最っ高に最低だなお前!!!」
「でよお、実際....その娼婦の具合はどうだったんだ?」
「......そりゃ、最高だったぜ」
「てめーはトンだクソ野郎だな!!!傑作だぜ!!!!」
そうして、ドッと笑いが起きる。最低どころの話じゃない。あいつらは人じゃない、「獣」なんだ。
「.......リイさん、行きましょう」
「承知しました」
そうして、俺たちは正面から倉庫へと侵入する。俺は今、どんな顔をしているのだろうか。
ポイント増えてる感謝!!マジでこういうの嬉しいっす!!!