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第百五十九話 ゴクラクにて

情報の正確性の担保と休息を兼ねて、俺とリイはゴクラクの街を散策する。市場や三百年後に「千年伝説」と出会った図書館に....あの忌々しい女郎蜘蛛迷宮もある。リイがカラム兄弟から聞き出したスコーピオンの構成員を路地裏へと引き摺り込み、尋問を行う。

リイがあの兄弟のどちらかから、引きちぎったのであろう耳を見せて、情報を聞き出す。

俺はそれを周囲の見張りという名目で見ないふりをする。

そうして、リイが聞き出した情報はどうやら正しいらしいという確証を得た。.....ただ、不気味なのはリーダーであろう男の戦闘能力についてはどれだけ絞っても一切、「知らない」と言うことである。


ただ、わからないことはどうしようもないので、俺たちは買い出しをすべく市場へと向かう

ゴクラクの市場はこれまで訪れた街のどれよりも活気に満ちていた。食料品を扱う露店の他にも武具や雑貨、迷宮から見つかったという触れ込みのマジックアイテムなど様々な商品が取り扱われている。

そんななかで、気になる商品を見つけた。

それは、紫色の石がついたネックレスのようなものであった。俺はそれをしゃがんで見入る。それを見た店主が俺へと話しかける。

「お!!兄ちゃん、それに目をつけるたぁ、お目が高いな!そいつは『臆病者の石』っていうマジックアイテムですぜ、持ち主よりも強い相手に出会うと光るんだ!」


「..試してみても?」


「ああ!構わないぜ」

そうして、俺はそれを持ち、リイへと近づく。すると、ネックレスの石がほのかに光りだす。こんどは、それをもって店主へと近づく、そうすると光が消える。

「どうやら、本物らしいですね」


「おうよ!!これは、三ヶ月ほど前にレオンの旦那が迷宮から拾ってきた逸品だぜ!!」


「へえ...ちなみにおいくらですか?」


「ザッと、金貨五枚だ!」


「リイさんはどう思いますか?」

俺はリイへと向き直り、問いかける。

「たしかに、これがあれば強敵と対峙した際に共闘すべきかの判断の一助となるでしょう.....それに、【剣豪】やその相棒の魔術師と出会った際の目印にもなりますね」


「さすがリイさん!俺の考えることもお見通しですね!」


「光栄です」


「なんだ、あんたら....あのスカした剣士野郎の知り合いなのか」


「...ええ、まあ、はい」


「じゃあ、割引してやるよ、金貨三枚でどうよ?」


「.....金貨四枚で良いので、この外国の通貨で支払っても?」

そう言いながら俺は、財布へと手を伸ばし、金貨を差し出す。店主はそれをまじまじと鑑定する。

「.....どうやら、金製ではあるらしいな、いいぜ、交渉成立だ!」


「それは、どうも」

そうして、ペンダントを首へかけ、財布を懐にしまおうとした瞬間。小さな影が俺へとぶつかる。

「あっ!!!」

咄嗟のことで、俺もリイも反応できなかった。そうして、その影は人混みへと消えていく。

「.....失礼しました、気づけませんでした」


「いえ、油断しました」


「気の毒だな...あいつ、スコーピオンに囲われた孤児だな......悪いことは言わねえが、関わらんほうがいいぜ」


「........リイさん、追いかけましょう」


「ええ」


「....あんたら、勇気は認めるが、相手はあのスコーピオンだぜ?」

店主は、そんなことを言ってくるが、生憎俺たちはそいつらを「狩る」依頼を受けているのだ。

「ご心配なく」

それだけ言うと、俺たちは影の走った方向へと進む。

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