第百五十七話 話し合い
外へ出るとカラム兄弟が宿の女中へと絡んでいる。
「へいへい!そこの女あ!兄貴の妾になれよお」
「はははは!!!弟よ!!お前にも味見させてやるからな!!」
「やったぜ!兄貴はやっぱ最高だあ!」
「や、やめてください」
女中は泣きながら逃げようとするも、男の膂力には敵わない。
....さっさと終わらせよう。とはいっても、相手が刃物など持っていた場合は俺の反射では殺してしまうので、リイへと丸投げすることにする。
「リイさん、お任せしても?」
「承知しました」
「なんだてめ...ギャッ!」
「兄貴...!!グエッ」
俺はその間に女中を解放してやる。
「もう大丈夫ですよ」
「は、はい!ありがとうございます....」
そうして、リイが二人の意識を刈り取り、二人を担いで部屋へと戻っていく。
意識を失った二人を柱へ縛り付けた後、リイが口を開く。
「申し訳ないのですが、小ぶりのナイフを買ってきていただけませんか?」
「......わかりました」
そうして、【主人公】さんが部屋を出たのを確認した私は、弟の方に水をかけて起こしてやります。
起きるや否や弟はやかましく騒ぎ出しますが、私は意に介しません。
「おい!!!てめえ!!こんなことして兄貴が黙ってると思うなよ!!!」
私ははそれを聞き、口を開きます。
「あなたのおっしゃる兄貴というのはコレのことでしょうか?」
私の指の先にはまだ意識を失ったままの兄がいる。
「あ、兄貴!!」
「まだ、御自身の立場をわかっておられないようですね」
そうして、私は兄の方にも水をかけて起こしてさしあげます。兄の方も騒ぎ立てたものの、自分の状況を理解し、すぐに黙ります。そうして、私は再度話し始めます。
「スコーピオンのボスの居場所と本拠地のありかを吐いてくだされば、生きて解放するとお約束いたします」
それに反抗したのは弟の方でした。
「はっ!!誰が話すかよ!!」
まあ、正直に話すわけないというのは織り込み済みです。
「.......」
私は何も言わずに、兄の右手の指を一本、逆の方向に曲げます。
「あああああああああ!!!!!!」
兄は泡を吹いて、意識を失います
「次は耳を一つ引きちぎります」
と、言いながら手の爪を露出させます。
「か、勘弁してくれ!!!話すからよお!!!」
そうして、弟の話を聞いた私は、兄の方にも同様の作業をし、彼らを解放してやります。無論、二度と調子に乗れないような体にして。これで、良いのです。【主人公】さんは、この汚れを知る必要はない、これは彼の「理想」には不要なものだから。