第百五十六話 ラッキー
俺たちはノキザルの話や街の獣狩りへの聞き込みを開始した。その結果、いくつかの情報を仕入れた。
・スコーピオンの本拠地およびボスの居場所は不明である
・構成員はそれほど多くはなく三十名程度
・この組織は数十年前に、とある男が創設し、彼のカリスマと圧倒的な実力によって躍進した
俺たちは宿の一室で、集めた情報をもとに作戦を立てる。
「......話を聞く限り、ボスさえ叩けば、皆殺しにする必要もなさそうですね」
「ええ、ボスの手足を使い物にならなくするだけでも十分依頼達成と言えるでしょうね」
「それでいきましょう」
「ええ、殺しなどしないにこしたことはありません」
「にしても、本拠地不明ですかあ.....」
「賊にしては随分と徹底した統制をしているようですね」
「......どうしましょう、俺たち構成員が誰かもわかんないですよ」
「一人ご存知ではありませんか...」
俺はリイのその言葉を受けてこの街に来てからのことを思い出す。
「カラム兄弟か!!!」
「ええ、そのとおりです。彼らに本拠地の場所についてお聞きしましょう」
「ええ」
そとが騒がしい。リイは耳を済まし、状況を探ると口を開く。
「どうやら、あちらからいらしゃったようです」
「それは、ラッキーですね」
そうして、俺たちはその喧騒の中心へと進む。
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