第十四話 バカと支援術師は使いよう 中編
更新遅くなってごめんなさい
山道を進んでいく。岩が剥き出しになった無骨な山道は元日本人の俺がイメージする山道とは程遠い。
「!」
先頭を歩くハンゾーの足が止まり、右手を挙げる。敵が接近してきた合図だ。敵はワイバーン三体若く血気盛んな個体だろう。ナワバリに侵入した外敵を食い殺さんと殺気だっている。ワイバーンは非常にナワバリ意識の強い魔物だ、Aランク級の魔物とはいっても群れて戦うためAランクのクエストとしてはかなり難易度が高い部類にあたる。群れているワイバーンはSランクの冒険者であってもゴブリンのように楽勝とはいかない。メンバーがそれぞれ臨戦体制に入る。
俺もまた、タンクのゴルドに防御力強化呪文をかけようと詠唱を開始する。迂闊だった。
「【主人公】さんっ!!」
詠唱のために意識をワイバーンから離したその一瞬でワイバーンは鉤爪で俺をつかみ、放り投げた。平地であったら痛い思いをするだけで済んだだろう。しかし、ここは山道だ。俺の体は山の麓にある森へと落下していく。一か八か防御呪文の対象をゴルドから俺へと変える。間に合わなければ死ぬし、間に合ったとしても生きてられるかどうかは運だ。
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結論として、生い茂った木がクッションになって俺は一命を取り留めた。おそらく、さっきの遭遇でワイバーンたちは俺たちに狙いを定めただろう。その対処に追われている間は救助は期待できない。
「痛っ、こりゃ何本か折れてんな...治癒魔術も使えないし困ったな」
そして、俺は魔物が寄ってこないことを祈りながら意識を手放した。
ワイバーンとドラゴンの違いってなんなんでしょうね