第百四十五話 天気予報
ホワイトの詠唱と共に、巨大な熱の塊......太陽が部屋の天井付近に出現する。
「お前のガウェインの力を引き出すための『太陽を生み出す魔術』を炎の魔術で再現したものだ」
「だからなんだい?まさか、ガウェインが生き返って、僕たちに刃を向けるとでも?」
「悪いが、そういったシュミの悪ぃ魔術は使えねえんだ.....もっと、崇高で、合理的なアプローチさ」
それを聞いたマーリンはホワイトへ止めを刺すべく先ほどと同様に魔術を放つ。そして、それをホワイトが炎を生み出し、防ぐ。
ホワイトが突然口を開く。
「..........ところでよぉ....ちと熱くないかい?この部屋」
そこまで聞いてマーリンが自分の体温が熱病の患者のように高まり、全身から汗が噴き出ていることに気がつく
「......太陽を生み、執拗に、炎の魔術を連発した理由はそれか」
「ああ、この部屋の室温は200℃を超えつつある。このままいけば俺たちは熱中症で死ぬな」
「ネッチュウショウが何かはわからないが、君とて無事では済まないはず...」
と、言い切る前にマーリンは気がつく。ホワイトは自分ほど発汗していないということに。
「わりーな、俺は魔術で自分の周囲の空気だけ冷却させてもらってるぜ.....熱中症対策は現代人の基本だ」
「であれば、僕も!」
マーリンもまた、自身の周囲を冷却しようと魔術を詠唱する。
「無駄無駄、熱中症は症状を自覚してからじゃ遅いんだ。悪いが、死んでくれ、術者が死ねばここの騎士どもにかかったバフも消える」
「僕が、負けるなど、あってはならない!!」
マーリンは最後の力を振り絞り、魔術を詠唱するも、口が上手く動かない
「あ、れ、うまく、しゃべれ、ない」
「言語障害......熱中症の症状の一つだ」
「まあ、次があればこの城にエアコンでもつけるんだな」
「は、はは、そう、させてもらうよ」
そう笑うマーリンにホワイトはとどめを刺す。マーリンもまた、物言わぬ人形のように倒れ込む。
そうして、ホワイトは部屋を魔術で冷却する。
「やっっべ、死ぬかもな、俺」
そのまま、ホワイトは床に倒れ込む。
熱くなってまいりましたので、皆さんも熱中症にはお気をつけください
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