第百三十九話 魔術戦
それを聞き終わるかどうかのタイミングで【剣豪】は奥の小部屋へ向けて駆け出す。
「行儀の悪い男だ....が、正直二対一は、流石の僕でもキツかった」
「他の騎士共と違って随分喋るじゃねえか」
「まあね、みんな無口なんだよ、僕だけでも喋ってないと気が滅入っちゃうのさ」
「お前はお前で耳障りだ」
「ひどいじゃないか.....そうだ!!僕たちがここに来るまでの話、聞きたい?」
「結構だ、自分で調べる」
「へえ、見た目によらず真面目なんだね」
「研究とは地道な行程の積み重ねだ」
「ふーん.....ま、死んでよ、僕の忠誠のために」
「悪いな、死んでくれ、俺の研究のために」
直後、ホワイトと放つ炎とマーリンの放つ雷がぶつかり合う。
熱と熱のぶつかり合い。まず制したのはホワイトであった。
「はっ!!案外大したことねえな!」
「まだまださ」
そう言うと、マーリンの背後から魔術によって形作られた無数の飛龍が現れる。
「へえ、変わった魔術を扱うんだな」
「ああ、僕は器用なんだ」
飛龍はホワイトへと襲いかかる。
「炎、灼け」
ホワイトの詠唱によって放たれた豪炎が飛龍たちを包み込む。
「炎が得意なのかな?」
「いーや、なんでもできるのが売りなんだ」
「あっそ....」
次にマーリンの詠唱と共に出現するのは無数の剣、そしてそれがホワイトに向けて飛来する。
「風、集え」
しかし、ホワイトの手から出現した暴風によって散らされる。
「へえ、自称するだけあって器用なんだね......次は趣向を変えよう」
マーリンは手を挙げてどこかへ合図する。すると無数の騎士団が現れる。
「騎士たちよ!!王に仇なす外敵を駆逐しろ!!!!」
「.....容赦ないねえ.......雷、魔を祓え」
出現した雷によって騎士たちは一掃される。
「そろそろでしょ」
「は、まだだよ!」
言葉に反して、ホワイトは肩で息をしていた。