第百三十二話 太陽の騎士 Ⅱ
雨雲によって太陽は隠れるものの、ガウェインの勢いは衰えない。詠唱によって途絶えた弾幕を突破し、ホワイトへ突進する。
「ま、太陽を隠した程度じゃ、加護は消えねえか。...ただ、それが狙いじゃねえ」
その時、先ほど生み出した雨雲から雨が降り出す。
「雷、魔を祓え」
ホワイトの手から発生した、雷が轟音と共にガウェインに直撃する。
「金属製の鎧に、水で濡れた体。感電させてくれって言ってるようなものだ」
発生した衝撃波によって煙幕が晴れる。
しかし、ガウェインは全身から煙をあげながらも、巨大な城壁の如く立ちはだかっていた
「普通の人間どころか、ドラゴンすらも感電死する雷だぜ」
ガウェインはそんなホワイトに答えるかのように語る。
「........王のために」
「王って......イカれてやがる」
ガウェインは再度、剣を振り上げて、ホワイトへ突進する。
「くそがよお。ランスロットにしときゃよかったな..........なんてな」
ホワイトは、ガウェインの足元へ向けて懐から取り出した、小瓶を投げる。
その瓶に入ったのは油であった。
「.....!!」
ガウェインはそれに足を取られて体勢を崩す。その隙をホワイトは見逃さない。
「炎、身を灼け」
2000℃に達するであろう炎がガウェインを襲う。しかし、ガウェインはなおも倒れない。
「......我が忠誠は決して崩れない」
「だろーな、ただ.....お前の鎧や剣はそうでもねえみたいだぜ」
ガウェインの鎧や剣はドロドロに融解しつつあった。
「鉄の融点は1500℃程度。次があるなら、タングステン製の武具でも探すんだな」