第百三十話 騎士団筆頭 Ⅱ
二人の騎士は何も言わず、ただ二人を見つめる。その瞳は気高い精神を映しながらもどこか虚であった。
「.......あのスカしたイケメンがランスロットで、そっちのデカブツがガウェインってところか?」
騎士は問いには答えない。ただ、剣を構える。
「.......ホワイト、相手に対話の意思はないようだぞ」
「......ああ、【剣豪】、ランスロットを頼む」
「では、ガウェインとはお前がやるのか?」
「ああ、やりたくねえがな。お前がランスロットをとっとと仕留めてくれればガウェインも譲ってやるよ」
「.....そうか、私が向かうまで殺すなよ?」
「善処するよ」
ランスロットが【剣豪】に向かって斬りかかる。それは【剣豪】はいなす。
「......ふむ、先程のトリスタンよりもさらに一段上か.......おもしろい」
そのまま二人は壮絶な斬り合いへともつれ込む。
逆に、ガウェインは慎重に構えたまま動かない。ホワイトもまた積極的には仕掛けない。
「..........太陽の騎士ガウェインね.....日中は通常時の三倍の怪力を発揮できる騎士。あの妙にギラついた太陽はこいつのための舞台装置か、ならば日没は期待できねえな....ただ、正面切って戦うってのも芸がねえな」
ガウェインを見据えたホワイトは魔術を詠唱する。
「水、穿て」