第百二十六話 科学実験
【剣豪】とホワイトは塔へと接近しようと試みるも、飛来する不可視の狙撃によって満足に近づけない。
「岩壁、守れ」
ホワイトは魔術で岩の壁を生成する。【剣豪】とホワイトはその裏へ隠れて、状況を分析する。
「........ちっとも近づけねえな、あの攻撃、かなり正確にこちらを狙ってきてやがる」
「.......あの塔の中に、射手がいるのだろうか」
「....多分な」
「ま、色々試してみるか」
そう言って、ホワイトは魔術を詠唱する。
「霧、満ちろ」
あたり一帯を濃霧が包み込む。
「よし、いくぞ、【剣豪】」
「....ああ」
しかし、その霧を切り裂くように攻撃が飛来する。それを剣豪が弾き飛ばす。
「......ほう、相手の方が一枚上手だったか」
「マジかよ.....ただ、これで相手は視界に頼った探知手段を持っているっていうわけではないってことだな」
そう言うと、再度ホワイトは詠唱する。
「岩、意思をもて」
詠唱によって、岩でできた人形が数体出現し、各が別々のルートで塔へと駆け出す。
「......あれは、獣を喚び出したのか?」
「ちげーよ、岩を人の形にして操作してるだけだ。ただのラジコンだ」
「.............」
「お前、分かってねえな?」
「......良いではないか」
「まあな」
今度は、塔からの狙撃が岩人形を貫き、破壊する。ホワイトたちのところにも攻撃が飛来するも【剣豪】が防ぐ。
「さっすが、頼りになるねえ」
「.......それで、分かったのか?」
「まあ待て、今から考えるから俺を守れ」
「......早くしろ」
「へいへい」
と言うと、ホワイトは顎に手を当てブツブツと呟き始める。
「霧の中で正確にこちらを狙ってきたってことは視覚ではないな.....岩人形に反応したことから熱探知や魔力探知の線も薄いか......音波か聴覚か.....それ以外の未知の手段か.....ただ、岩の陰に隠れた俺たちを狙撃できねえってことはそこまで応用の効く技ではないな.......いや、待てよ?」
そんなホワイトの脳裏にアーサー王伝説に登場するとある騎士の名が思い浮かぶ。