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第百十九話 俺の覚悟

現状の整理だ。あの武者の能力が何かは確定していない。しかし、諸劇で見せた斬撃と先ほどルーナが弾いた一撃との間には偶然と切り捨てるには不自然すぎる破壊力の乖離が存在する。ただ、この矛盾に説明をつける仮説がある。それは、あの最初に見せた斬撃は相当なタメがいる、というものだ。この仮説であれば、最初にあの斬撃を放てて、先ほど放てなかった理由にも説明がつく。他にも、間合いによる制限などの仮説もあるが、それはいささか不自然だ。ただ、それがわかったからといって、奴を打倒できるわけではない。厄介なのはこの霧だ。俺たちの視界を極限まで奪い、リイの鼻や聴覚にすらも影響を与えるこの霧.....。俺たちはいずれあの武者に一人、また一人と殺されていくだろう。なんとか、リイだけでもあの敵を感知できるようにしなければ。


先ほどは、コゼットが接近する武者に気付けたことでタメの隙を潰したのだ。あれは、偶然の産物で、二度目はない。

.....覚悟を決めるか、リイが俺のために血を被るというのなら、俺はその分血を流す。

そうして、俺はコゼットを降ろす。

「......コゼットさん、危険ですのでおろさせていただきます」


「....わかりましたわ.....どうかご無理をなさらぬように」


「わかってますよ」


「わかっていらっしゃらないから、そう申しているのです」

そう言うとコゼットは頬を膨らませる。

「......ははは」

俺は、そうして意図的に歩調を早め、彼らから離れる。リイはそれに気がついて俺に声をかける。

「【主人公】さん、少し歩調を速めすぎです」


「リイさん、これでいいんです」


「どういうことでしょうか?」


「すぐわかりますよ」

偶然ではあるものの、攻撃を弾いたルーナや屈強なリイ、そしてその近くを歩くコゼット....それに比べて俺はここまで、あいつに反射を見せていない、そして集団から孤立した線の細い小僧....格好の獲物だ。

案の定、武者の姿が見える。

「みんな!!武者だ!!」

俺は相手の剣を無視して、その影に突っ込む。予想通り、実体はある。この武者自身は特別でもなんでもない、特別なのはこの霧なのだ。接近の過程で俺の体からは、やつの剣に切り裂かれ鮮血が流れる。俺はそれを武者の体へ血を塗りたくる。モンハンでいうところのペイントボールだ。武者はまた霧へと紛れる。もう無駄だよ。

リイの声が聞こえる。

「【主人公】さん!!」


「いいんです、リイさん、やつに俺の血をべったりつけてやりました。これで、奴の位置を探れませんか?」

そう言って俺はふらつく。そんな俺を支えたのはルーナだ。

「先ほどのお礼です」


「それはどうも」


そんな俺の様子を見たリイは、嗅覚を研ぎ澄ます。

「.........そこです!!」

リイは自身の背後から迫る武者に発勁を叩き込む。

「破ァ!!!!」

しかし、武者の体はびくともしない。

「......!!!!!」

リイは驚きこそしているものの、大きな動揺は見えない、代わりに彼の瞳に満ちているのはかすかな諦観と、強い意志であった。

あっぶねえ....投稿するエピソード間違えてました

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