第十一話 焼き餅やくとて手を焼くな
時系列的には第十話と同時に進行してる感じです
私、アンジーはSランクパーティー「黄金の矛」で剣士を務める美少女だ。自分で言うのもアレだけれど16年も生きてれば嫌でも理解する。贅沢な悩みかもしれないがこの顔のせいで散々嫌な思いをしてきた。ストーカーに悩まされ、同性からの嫉妬に晒されてきた。これまで所属してきたパーティーでもこの顔が原因でトラブルが起き脱退を余儀なくされた。幸いゴルドさんに拾ってもらい、実力を開花させることができた。が、今でも陰口は絶えない。曰く「ゴルドと寝た」だとか「黄金の矛お抱えの娼婦」だとか散々な言われようだ。もちろん根も葉もない誹謗中傷だが。たまにこの噂を間に受けたバカが私に言い寄ってくる。まったく迷惑な話だ。私の王子様は【主人公】さんだけだ。これは、まだ私が「黄金の矛」に所属する前のこと、複数パーティー合同のクエストでのことだ。私はパーティーメンバー達によって寝床から締め出され半ば強制的に不寝番をすることになってしまった。他のパーティーの人たちもトラブルを嫌って何も言わない。それまでの身体の疲労や悔しさによって泣き出してしましそうだった。そんな私に声をかけてくれたのが彼だ。
「君、大丈夫?一人で火の番なんて大変じゃない?俺が代わるから君も休みなよ」
「....大丈夫..です。戻っても寝る場所がないので私のことは気にしないでください」
「..そっか、じゃあ俺もここにいていいかな?寝付けなくてさ......って、うわ、泣いちゃった、大丈夫?」
「..は..い..お気に..なさら..ず」
彼からすれば何気ない親切のつもりだったのだろう。しかし、私の心は救われた。そのあと私はそのパーティーを辞めて「黄金の矛」に転職した。そんな彼がパーティーをクビになったと聞いた時はチャンスだと思ったし、ゴルドさんが彼を拾ってきた時は飛び上がりそうなくらい嬉しかった。彼の歓迎会では生まれて初めてこの顔でよかったと思った。その後に長年の念願を果たして彼と恋仲になることもできた。もし彼が他の女に興味など示した日には....彼のことを殺してしまうかもしれない。ともあれ私の人生は順風満帆だ。
「黄金の矛」は美男美女揃いの善人パーティーなのでアンジーへの嫉妬とか勘違いとかそういったものは発生しなかった..みたいな感じで解釈しといてください。