第百十七話 あなたのための騎士
「......ただ、この場に留まるのも愚策ですね」
サンゲツの街は目と鼻の先だというのに、もどかしい
「ええ、地の利は完全に敵方にあります」
そんな、俺たちの会話にルーナが口を挟む
「あ、あの! 私、この山に何度か、父と来たことがあって.....」
「もしかして、下山する道がわかるんですか?」
「はい!」
「まさに、渡りに船.....」
「では、ルーナさん。道案内をお願いできますか?俺たちが居る限り、あなた方の身が危険に脅かされることは有り得ません」
「ええ、約束いたします」
「ルーナ!さすがですわ!!」
「はい!精一杯務めます!」
そんな、彼女へと、俺はバックパックから取り出した、とあるものを渡す。
「ルーナさん、これを」
「こ、これは、剣、ですか?」
「ええ、服の下に隠したナイフだけでは心許ないでしょう。先導してもらうなら尚更です」
「......この剣、相当使い込まれています。ただの剣ではないのでは?」
「ええ、まあ、俺の友人の形見です。切れ味は保証しますよ」
「そのようなものを.....いえ、お借りします」
「まあ!ルーナ!まるで騎士様のようですわ!」
そうして、俺たちはルーナの案内で下山していくこととなる。
まあ、旅にあたって軽装ということはないでしょうから、バックパックの一つや二つありますとも。
ある方がめっちゃ誤字修正してくれてる!!感謝!!名指しとかしていいのかわかんないのでしませんが、ありがとう!!!