第百十一話 ここからは本音で
コゼットとルーナが立ち去った俺の部屋には静寂が訪れる。
「......少々、甘過ぎるのでは?」
リイが、俺へと問う。思えば、リイが俺の行動に何か言うのは初めて出会った日以降一度もない。彼は、俺をそれほどまでに信頼してくれていたのだ。であれば、俺も正直にその言葉へと向き合う。
「さっき、かつて俺が殺めてしまった仲間たちと会いました。俺の過ちを彼らは笑って許してくれたんです」
「.....左様ですか」
「リイさん、ありがとうございます。俺のために怒ってくれたんですよね」
「.........さて、次にお話したい事は、あのアレンという男との闘いについてです。どのようにして打倒したのですか?あの男の攻撃手段は剣...しかし死体には打撲痕.....殴打したような痕がありました。あなたがやったのでしょう?」
「ええ、リイさんの言うとおりです。俺は新たな技を身につけました。休養期間中に一度披露させてください」
「楽しみにしておきます、次はあの男自身についてです。コゼットさんのお話によるとここ数ヶ月の間に急速に力をつけたそうです。それまでは、ただの平凡な剣士であったと」
「.......それは、不気味ですね。ただ、あの男からは女郎蜘蛛迷宮の主と似た気配がしました。そして、その主に匹敵するほど強かった。いや、速さに関しては完全に凌駕していました」
「........まるで、運命が私たちに牙を剥いているかのような」
「ええ、一刻も早く【剣豪】を見つけなければ」
しばらく俺たちは考え込む。ただ、何も思い浮かばない。
「......では、本日はこれにて一旦解散としましょう。私は、隣の部屋におりますので何かございましたらお呼びください」
「わかりました。ありがとうございます」
またブクマ増えてる!!感謝!!なんか3章入ってからこういうの増えてる気がします!