表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

117/380

第百七話 高級スーツ

僕の名前はアレン・イーストウッド。名門伯爵家の次男だ。僕は親からの愛情を一身に受けて育った。そんな僕の趣味は美しくあること。美しくあるために、心身のケアは欠かさず。理想的な体型を保つために剣術を嗜む。そして、最高級の品々を身に纏う。そんな僕は完璧だ。ある日、平民の汚いガキがすれ違い様に僕のブリオーナのオーダーメイドスーツに触れやがったんだ。僕はそのガキに「罰」を与えた。死んでしまったらしいが自業自得だ。伯爵家の権力を持ってすれば平民の死なんてものは話題にすらも上がらない。そんな、僕の順風満帆な人生には一つだけ、どれほど洗濯しても取れないシミがあった。それは、僕が弱い、ということだ。僕には、剣術の才能があまりなかったようで、どれだけリソースを注ぎ込んでも「平凡な剣士」という評価を抜け出すことはできなかった。これではダメだと、焦るも状況は好転しない。しかし、そんな僕にも神様は味方してくださったらしい。ある日の夜、僕は悪魔のような男に殺されかける夢を見た。しかし、その次の朝から、僕は超人的な速さを手に入れた。これはきっと、真面目に自分を磨く僕への神様からのギフトなのだろう。しかし、そこから僕は少しおかしくなった。僕は、強くなってそれで満足したはずだった。周りの人間が僕を褒め、僕はそれを誇る。それで完結したはずだった。だが、言いようもない殺しへの渇望が僕を支配するんだ。そんな最中、僕が王都を離れて滞在していたベイトの街に客人が訪れる。確か、バルジャン子爵家のコゼットとかいう女とその一行だった。学者だった男が貴族へと成り上がった家で、確か今の当主で三代目のはずだ。そんな、貴族モドキのことはどうでもいい。それよりも、彼女の従者であるルーナという女だ。短く切り揃えられた茶髪と、鋭く気高さを纏った瞳。整った目鼻立ちは軍人のような鋭さと聖母のような美しさを両立していた。僕は一目惚れした。すぐに僕はルーナに交際を申し込む。しかし、彼女は愚かにもそれを拒絶する。次に僕は、平和的に貴族らしく彼女を手に入れようと画策し、コゼットへ彼女を譲るように命じた。しかし、彼女はそれを断る。「彼女はものじゃない」などと言っていたが、どういうことなのだろうか平民は僕たち貴族に消費されるために存在しているというのに。その次は伯爵家としての権力を使ってみることにする、しかし、子爵家のくせに僕の権力に抗って見せたのだ。こうして、万策尽きたかと思ったものの、そこで僕は神様から賜ったギフトの存在を思い出した。そうだ、譲ってくれないのなら奪えばいい。簡単なことだ。そうして、僕はその夜、彼女たちの宿舎を襲撃した。護衛騎士とかいう連中が抵抗したせいで、逃げられてしまったが僕はそれを騎馬で追跡する。この馬も血統や飼育方法にこだわった自慢の名馬だ。そうして、僕がショウオとかいう下民の掃き溜めを通過したあたりで賊の溜まり場を発見した、そこに僕を邪魔した騎士どもの死体が転がっていた、中にはゴミクズどもが死んでいた。しかし、ルーナとコゼット、そして馬車の姿はない。ただ、彼女たちは自分たちの家を目指すだろうとあたりをつけ、再度追跡する。

「待っててね、僕のルーナ」

第3章はまだまだ続きます。

ブクマ感謝!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ