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第百六話 ダーティ・ハリー症候群 Ⅱ

俺は朦朧とする意識をなんとか制御して()()()()()()()()へと近づく。アレンは完全に事切れていた。それを改めて認識した俺の心に去来するのは何か、自分がとんでもなく「不潔な」ものに変貌してしまったのではないかという、罪悪感だ。先ほどまでの高揚感は消え失せ、心を暗いものが支配していく。俺はこんな恐ろしい行為をリイへと押し付けていたのだ。そんな俺の元へ、息を切らせたリイが現れる。リイは、倒れる俺とアレンの死体をみて呟く。

「間に合いませんでしたか.......」

そう言うとリイは、俺へと駆け寄る。

「【主人公】さん!大丈夫ですか?」


「.....はい、それよりも二人は?」


「.....この先の街で待機してらっしゃいます」


「ありがとうございます.....リイさん、俺.....」


「少々お待ちを」

リイは俺がこの後何を言おうとしたのかわかっていたのだろう。彼は俺の言葉を遮り、立ち上がると、アレンの死体へと向かう。彼はそれを引きちぎると、谷底へ向かって投げ捨てた。いや、投げ捨てると言うよりはむしろ投擲したといった方が正しいだろう。まるで、アレンにトドメを刺したのは自分だと言わんばかりの顔だ。ただの気休めにすぎないと、わかってはいたものの幾分か俺の心は安らいだ。

「では、お二人のもとへ向かいましょう。私が背負いますので」


「リイさ、ん」


「どうなさいましたか?」


「馬車の中の、荷物を忘れないで...」


「ははは、承知しました」

そうして俺たちは森を抜け街へと入った。



ブクマ増えてる!!感謝!!

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