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第百二話 虐殺騎士アレン Ⅱ

俺は何が起こったか分からず二本の剣で体を切りつけられる。

「ぐあっ!!」

俺は無様に地面に倒れ込む。

「なんだ、やっぱり弱いじゃないか」

そう言うとアレンは俺の腹を蹴り飛ばす。

「ぐっ!!」

俺は地面を転がる。俺はそれでも努めて冷静に、状況を考察する。俺の反射が通じなかった理由として考えられるのは主に二つ。

①あの男の剣やあいつ自身に特殊な細工が施されている

②あの男の剣がめっちゃ速い

①の場合はどうしようもないので、②だと仮定して考えることにする。俺の反射の発動条件は非常にシビアだ。相手の攻撃が俺へと着弾する、ほんの一瞬。その1Fにも満たないわずかな刹那に技をねじ込む。思えば今まで俺が戦った相手で速さを持ち味にする相手はいなかった。俺は、偏った成功経験のみを積んで。無敵になった気でいたのだ。沸々と湧き上がる自己嫌悪を飲み込み、策を練る。受けがダメなら攻めに転じるまでだ。俺は再度アレンを挑発する。

「なるほどな、こんなイかれたDV野郎じゃあ女にモテねえだろうな!!!!」


「ははは、もはや滑稽を通り越して爆笑ものだよ。だが、僕を侮辱することは許さない」

再度、俺へと切り掛かる。俺は彼が俺へと肉薄するその瞬間。手に握った砂を彼の目へとかけた。

「小癪なあああ」

アレンは目を抑えて怯んだ、俺はそんなアレンの胴体へタックルをかます。それも、ただのタックルではない、猿との決戦で使用した反射タックルだ。彼の攻撃には対応できなくても。俺自身の動きなら完璧に制御できる。

「うがっ!!!!」

アレンは無様な声を漏らして、3mほど吹っ飛ぶ。しかし、ただそれだけであった。アレンは再度、俺へと向き直るとさらに加速して、俺へと接近し俺を切りつける。二本の鉄の塊は俺の体を確実に削る。

「....まだ速くなるのかよ」


「ああ!!まだまだ速くなるぞ!!」

そう言ってさらに加速したアレンは俺の体を切り刻む。

「ぐあああああ」

俺は薄れゆく意識の中で、最後の力をふり絞り敏捷強化魔術を詠唱する。

「主よ、我に、赤兎の加護を!」

俺は自身の足へと、魔術を施しアレンへと迫り、再度タックルを狙う。

「ふん、哀れだね」

アレンは俺の決死の突進を軽くいなすとバランスを崩した俺を再度蹴り飛ばす。俺は4mほど吹っ飛んだ。アレンはゆっくりと俺へと歩みを進める。アレンは倒れ込んだ俺の腹を執拗に蹴り飛ばしながら何か叫んでいる。

「お前!僕のスーツを汚したな!!このスーツはアルマーノの特注品なんだぞ!!見ろよ...この生地......最高級のコットンをふんだんに織り込んで作った名品だ。それに、このボタンも......樹齢百年を超える厳選された黒檀から作られているんだ!!それを!!地面の砂なんかで!!!」

なんだこいつ、イカれてやがる。こいつは、自分とそれを飾り立てるものにしか興味がないんだ。だから、美しいルーナへと執着した。こいつは、そんなくだらない理由で人を殺せるんだ。そんなアレンに無性に腹が立った俺はあいつに蹴られて口の中にたまった血をアレンの高そうな革靴に向けて吐き出してやる。ビチャリという音と共にアレンの革靴に赤いシミができる。アレンは激昂し、俺の腹をさっきよりも激しく蹴りまくる。

「お前ええええええ!!!僕の!靴に!何をしたああ!この革靴は、ジョン・ロビの最高級品なんだぞ!!」


「は、あんたには汚れてるぐらいがちょうどいいよ」


「この獣がああああ!!!!」

そうして、アレンの渾身の蹴りが腹へと命中し、俺の意識は闇へと溶け出す。

ジョン・ロブにもアルマーニにも悪意があるわけではありません。

ブクマ増えてる!!感謝!!

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