第九十八話 魔法は解ける
コゼット視点です。ちなみに過去一短い気がします
「.......追っ手はどうやら馬ごと転倒したようです」
リイさんのこの言葉を皮切りに、再度私たちは仮面を付け直す。
「ただ、貴族の護衛騎士を全滅させるような追っ手がこの程度で諦めてくれるとは思えませんね」
【主人公】さんに至っては、もはや、あの追っ手が私たちの抱える秘密だという推測を隠すことすらせずに言い放つ。彼らは私たちの嘘でかろうじてコーティングした真実に気が付きつつある。ルーナはもう限界だ。それに、彼らは決して対等な対話の相手ではない。ただ、ここに至っても私たちは暴力の一つさえもふるわれていないのは妙だ。やはり、この二人は異質だ。もしかしたら....彼らならば.......。であれば、これは賭けだ。ルーナの命以外ならばなんでもかけてやる。そう考え直し、私は口をひらく。もう、嘘はつかない。ここからは本心をぶつける。せめて、彼女だけでも助かりますように。
「........まずは、あなた方に助けられている身でありながら、このようなご無礼を働いたことを謝罪させてください」
そうして私は、深々と頭を下げる。そうして、次の言葉を紡ぐ。
「このような、ご無礼を働いた私どもをそれでも許してくださるとおっしゃるならば、どうか私がこれから話す話へと耳を傾けていただけませんか?.......もし、許せないとおっしゃるならば、私を窓から投げ捨ててください。ですが、彼女だけは助けてください。どうなろうともお金はあなた方が要求された額を必ずお支払いいたします」
お願い神様....私たちを助けて......