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5/7(水曜)『リスナー参加型ふぉすた』♯4

 まずSNSでゲームの開始(かいし)告知(こくち)を流してから配信スタート。

 同接(どうせつ)三人。くっそ、負っけねえぞ。今に見とけよ。

「あいあーい、号六(ごうろく)ななでーす。今日もフォームマイスターをプレイして行きまっす。(いま)ルーム作るので(はい)れる(かた)、ご自由に参加してくださーい」


爆裂思春期 :まいど

米粒タケル :お疲れっす


「まいど毎度ぉー、お疲れっすー」

 フォームマイスター開始。画面に三人のキャラクターが表示される。

「お? 装備()わった?」

 爆裂(ばくれつ)さんが肩にデカイ大砲(たいほう)(かか)えている。

「なにそれ?」


爆裂思春期 :円柱(えんちゅう)フォーム。バズーカやで

米粒タケル :当たり判定が大きい


 仲間の装備を確認すると円柱フォームの説明があった。バズーカ砲の攻撃は中距離で爆風にもダメージ判定があるらしい。さすがに連射はできないが、かなり攻撃力が高い。

 で、米粒(こめつぶ)さんの装備も新フォームに切り替わっていた。キャラの頭上に円形(えんけい)雨雲(あまぐも)みたいなモコモコが浮いている。円形フォームの武器(めい)はレイン。


米粒タケル :オートターゲットで雨、()らす

爆裂思春期 :レベルでダメージ量メッチャ上がる


「あー、レベルアップでダメージ量どんどん上がるタイプねぇ……オートでロックオンしてくれるの便利だなそれ。じゃあ私も新しいフォーム探すかー」

 三人で次のエリアリーダーがいる大陸へ移動しつつ。

「毎回この距離移動(いどう)すんの面倒くさいな」


米粒タケル :(しん)拠点つくる?


「そーだねー。この辺でちょい素材(そざい)とか集めよっか」

 フィールドで適当に拠点(きょてん)の素材を集めていると、私の目の前を見たことないフォームが通り過ぎていった。

「なにあれ三日月(みかづき)?」

 色も形もお(つき)さま。完全に三日月だ。

「あれ強いの?」


爆裂思春期 :ちょー接近戦やで

米粒タケル :パリィできる


「パリィって受け流しだっけ? ダメージ無効化(むこうか)できるのコレ?」


米粒タケル :ジャストタイミングでパリィ発動


「ジャストかー、アクション苦手なんだけどなぁ」


爆裂思春期 :お(ため)しでやってみ


「そだねー」

 近くをフヨフヨ飛んでいる三日月を封印カードでゲット。ここまでは簡単。

 メニュー画面で装備を切り替えると、私のキャラが黄色の三日月を両手に持った。

「え、二刀流なのコイツ」

 お月さまをふたつ(かま)えているグラフィック。適当に操作するとメッチャ攻撃速度が速い。とりあえずボタン連打。無表情のまま両手で三日月を振り回している。

「なんちゅーデザインや……」


米粒タケル :意外とパリィできるよ


「あーそうなんだ。ちょっと強そうだな、このまま行くか」

 素材も集め終わって新たな拠点も完成。念のためセーブ完了。次のエリアリーダーがいるポイントへ向かう。

「お? 今度は山登(やまのぼ)りか」

 次のエリアは山だった。フィールドが山岳(さんがく)地帯のグラフィックに変化している。

「じゃあ登山(とざん)すっかー」

 傾斜(けいしゃ)のキツイ山道(やまみち)をサクサク歩いて行く。ゲームで良かった、実際の登山(とざん)だったら移動だけで地獄やで。

「そー言えばこの前ネットの掲示板で見たお(だい)で『日本一(にっぽんいち)カッコイイ声』ってスレ見かけてさぁ(いろ)んな声優さんの名前()かけたんだけどね」


米粒タケル :だいたい決まってるよね

爆裂思春期 :人気アニメ&人気声優とか


「だよねー。(わたし)(てき)にはさー、すぐ思いつくのって固有(こゆう)結界を発動してる時の諏訪部(すわべ)さんとか。あとツダケンさんもファン多いよね」


爆裂思春期 :やっぱDIOやってた時の子安(こやす)でしょ


「あー、子安さんも良いよね。シンプルにキャラが強い」


米粒タケル :セルの時の若本(わかもと)さん最強


「確かに印象(つよ)いな。ってかクセが強いな。あれなんだよね、ラスボスキャラの人って記憶に残るっしょ」


爆裂思春期 :愛染(あいぜん)やってた時の速水(はやみ)(しょう)とか


「そうそうそう、やっぱ強い。あと中村悠一(ゆういち)さんは上位に()るよね自然と。なんせ主人公も脇役(わきやく)敵役(かたきやく)も全部カッコイイからなー、

あの人……あ、よくネタにされるけど銀魂(ぎんたま)の杉田さんって普通にいい声してるよね、あの人」


米粒タケル :シリアスな低音ボイスの時いいよね

爆裂思春期 :ジョージは?


「あー、中田譲治(じょうじ)さんね。確かにカッコイイ。(ひび)くよねぇジョージさんの声は」


爆裂思春期 :あとは?


「……んー、ゲーム好きとしてはさ、メタルギアシリーズ好きだからスネークの大塚明夫(あきお)さん最強なんよ、結局。明夫さんの声はお(なか)に響く。ガチ染み込む」


米粒タケル :確かにカッコイイ

爆裂思春期 :待たせたな


「いや、待ってねーわ。(めい)台詞(ぜりふ)だけども待ってねーわ」

 山の頂上が見えてきた。キラキラ光るゲートの()(ぐち)に近づく。

「ま、ぜーんぶ個人的な意見だけどね。……おう、ポイント発見。ボス戦だ、行くぜぃ!」

 そのまま三人で突撃。画面と音楽がボスバトルに切り替わる。

 いつものボス空間にエリアリーダーが出現。テカテカ光る巨大な物体がフロアの中央に落ちてきた。

「うわ、なんだなんだなんだ、おい(ほし)だ!」

 最初に敵の名前が表示される。エリアリーダー『スター』。

 見た目は完全に星型(ほしがた)

 移動スピードはそれほど速くない。とりあえず接近して攻撃してみると普通にダメージが通る。

「そんなにクセ無いなコイツ」

 そのまま敵のHPを削っていると突然、なにかを飛ばしてきた。湾曲(わんきょく)した細長(ほそなが)いモノがこちらに突き刺さる。

「いって、(いた)いって、これなんだ? アホ毛だ!」


米粒タケル :アホ毛だね

爆裂思春期 :アホ毛やな


 なぜかボスキャラが頭上から黄色のアホ毛を飛ばしてきた。しかも連続で。そのアホ毛が次々とプレイヤーに刺さりダメージ量が増える。

「やべやべやべ、なんだこれ」


爆裂思春期 :だからアホ毛やん


「知っとるわ、見りゃ分かる!」

 一旦(いったん)敵から離れて回復アイテムで治療(ちりょう)する。が、アホ毛が刺さりっぱなしで抜けない。ずっとダメージが発生している。


米粒タケル :スリップダメージあるね


 時間経過(けいか)とともにHPが徐々に減少していく。スターから離れても敵の攻撃をかわしてもダメージが継続している。

「ずっと累積(るいせき)ダメージ発生するじゃんこれ!」

 このままじゃ回復が間に合わない。でも近づけばまたアホ毛祭りだ。危険すぎる。


米粒タケル :もしかして(ちょう)短期決戦かな?


「そーゆーことか!」

 それが分かればもう突っ込むしかない。迷っているとドンドンHPが消耗(しょうもう)していく。

 リスナー二人(ふたり)が中距離タイプだから離れて攻撃に(てっ)してもらう。そっちにも遠慮なくアホ毛が飛んでいくのでアイテムが切れたらHPを(けず)り取られてアウトだ。

 そして私は接近戦の二刀流。ダメージ覚悟でスターにゼロ距離で攻撃、攻撃。

「こいつこいつこいつ!」

 闇雲(やみくも)三日月(みかづき)を振り回していると、飛んできたアホ毛が次々と叩き落とされていく。


爆裂思春期 :パリィできてるやん


「え、ボスの攻撃もパリィできんの?」

 予想していなかった。てっきりザコ敵のみ対象(たいしょう)の技かと思っていたらボスキャラにも効果があった。

「こうなったらゴリゴリに攻める!」

 通常攻撃にきちんと当たり判定があるので、あとはひたすら敵のアホ毛をたたき落とし同時にダメージを与えていく。

「ちぎれろ、このアホ毛アホ毛アホ毛あほぐぇー!」

 スターのHPゲージが急激に減っていく。こいつ防御力は低めに設定されているらしい。三人の攻撃で一気(いっき)にゲージが消し飛んだ。

 スター爆発。

 同時に勝利音楽が流れだす。戦闘終了でリザルト画面が表示された。

「危なかったぁー。いやー、短期決戦ってすぐ気がついて良かったねぇ」


爆裂思春期 :意外とサクっと行けたな

米粒タケル :(いきお)い大事


「これがパッションかー」


米粒タケル :武器の相性(あいしょう)も良かった


「そうだねー、今回もサポートありがとねー!」

 拠点に戻ってセーブ完了。ここでうっかりセーブ忘れると(だい)事故(じこ)である。

「それじゃ今日はここまで! お疲れ様でしたー!」

 スッキリ気分で配信終了。

 ボタン連打しすぎて、ちょい指がいてぇ……。ま、勝ったから良し!



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