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6/8

5/6(火曜)『リスナー参加型ふぉすた』♯3

 新規のリスナーさんをゲットするためSNSでゲームの宣伝をしてから配信開始。

 同接(どうせつ)三人。チャンネル登録まだ六人。たったの六人。登録、増えねぇな……。

「はぁい、どーも号六(ごうろく)ななでーす。今日はリスナー参加(がた)で『フォームマイスター』プレイしまーす」

 オープンワールド系のアクション『フォームマイスター』。操作がシンプルなのでアクションに慣れてなくても遊びやすい。

「いらっしゃいませー」

 オンラインでほかのプレイヤーも呼び込めるのでリスナーさんに参加してもらってバトルのサポートをしてもらう。

「前回ボコられて(くや)しいから、裏でちょいレベル上げしといたよ」

 メニュー画面を表示して見せる。基本ステータスが上昇するだけでかなりバトルが(らく)になる。さらに配信外でべつのフォームもゲットしておいた。

「レベル上げて新フォームだぜぃ。見て見てこれ」

 今回のフォームは台形(だいけい)

 装備するとショットガンみたいにタマをバラ()くタイプ。射程距離は短めだけど、レベルを上げるとタマ(かず)が増えて攻撃範囲がさらに広がる。なにより射出スピードがメッチャ速い。

「これならあのリングにヒットするっしょ」


米粒タケル :やっぱ、そーなるよね

爆裂思春期 :カッパ、そー鳴くよね


「どこでカッパ発見しとんねん。(いん)、踏めばいいってもんじゃねーぞ。鳴いてみーやカッパ」


米粒タケル :容赦(ようしゃ)ない無茶ぶり

爆裂思春期 :か、か、カパ。ごめんなさい

米粒タケル :普通に(おこ)られた


「ほな、行くよー」

 このメンバーと合流して気づいた。リスナーさんもまったく同じ装備だった。二人ともショットガンを持っている。どうやら私と同じ結論に(たっ)したらしい。乱れ撃ちで削る作戦だ。

 で、三人で目的地へ向かう。次のエリアリーダー撃破のために。

 移動中、自然と雑談の流れになる。

「そー言えばさあ、この前テレビでコンビニスイーツの特集やっててね。最近の商品ってスゲー種類が多いでしょ?」


米粒タケル :しかもウマイ

爆裂思春期 :血糖値(けっとうち)、上がる


「血糖値が怖くてスイーツ()えるか! 糖分は人生だろっ」


米粒タケル :名言、出た


 コンビニスイーツといえばプリン、シュークリーム、ロールケーキ、もちもち系、本当に多種(たしゅ)多様(たよう)

「毎回、スイーツコーナーで脳内バトルが開始されるよね」


米粒タケル :全部は買えないからね

爆裂思春期 :意外と消費期限が早い


「そうそう。でさー、私としてはコンビニスイーツって三百円が限界なんよ。もう五百円とか行くとそれ、お弁当レベルじゃん。デザートの領域じゃないんよ、これ()かるこれ?」


米粒タケル :それ()かるそれ

爆裂思春期 :アレ迷子オレ


「コンビニで迷子になるな。ほらもう到着だよー、ボス(せん)、行くよー」

 雑談しているあいだにエリアリーダーのところに到着。フィールドにある(ひか)るエフェクトに()れると画面が暗転(あんてん)。ボスバトルの空間へと移動する。

「よっしゃ、行きますかー!」

 巨大な密室(みっしつ)空間。敵も味方も脱出はできない。

 とにかく今回は先手(せんて)必勝(ひっしょう)だ。なんかトラブル起きたらその時、考えるってことで。

「だーらららっ!」

 台形フォームでショットガンを撃ちまくる。残弾(ざんだん)の設定は無いのでひたすら攻撃ボタンを押しまくり。

「ここで……直撃させる!」

 ボスのリングって奴、通常移動はメッチャ遅いので攻撃はちゃんと命中する。

 が、ある程度の距離まで接近すると突然の高速移動で逃げられる。なので近づきつつショットガンでとにかく敵のHPを(けず)る。

 距離の()(かた)に失敗するとタマをバラ()いて逃亡。また追いかけなきゃいけない。

「このパターンだと、ちょい時間かかるなー」

 たぶん勝てると思うけど与えるダメージ量が少ない。

 と、画面の上のほうに目が()まった。戦闘画面の上に数字が表示されている。前回のボス戦にこんな表示なかった。

 数字は二十八。どんどん数字が減っていく。カウントダウンだ。

「あれ、もしかして制限時間ついてる?」


米粒タケル :今日アップデートされた

爆裂思春期 :ボス戦は三十分やで


「今日からアップデートされたの? マァァァジか、うわぁなんでだよ」

 のんびり様子を見ている余裕はない。距離を詰めて攻撃、さらに攻撃と繰り返す。

「火力が()りない!」

 どんどん時間が消費されていく。このペースだと()に合わない。

「撃て撃て撃て、時間切れで敗北とか無いでしょ!」

 くっそ防御力が高すぎる。

「ヤッバイ、あと十二分!」

 敵のHP、やっと半分。残念ながら丸ごと半分も残っている。確実にタイムオーバーの流れだ。

 そこで急にボス(せん)の曲が変わった。まるで勝利が確定したようなテンション(ばく)()げ音楽。

「どーゆーこと?」

 変化は突然だった。

 不意(ふい)にポンデリングの表面が(くず)れ落ちた。

 もちろん攻撃の手は()めない。

 こっちの攻撃がほんの数発(かす)っただけでゴリゴリ敵のHPゲージが急激に減っていく。

 もしかして……。

「ポンデのガワが()がれた!」

 さっきのグラフィック演出は装甲が()がれ落ちたってことか。

「こいつ防御ガタ落ちしてる。今がチャァァァーンス!」

 移動スピードに全振(ぜんぶ)りしているせいか、中身(なかみ)の防御力がメッチャ低い。


米粒タケル :(かこ)め囲め

爆裂思春期 :ハチの巣じゃあああ!


「弱点、()き出し! ポンデのポンデ無しがあああーっ!」

 唐突(とうとつ)勝機(しょうき)が見えた。与えるダメージ量が二倍(にばい)、三倍に増えている。

 みるみる敵のHPが減少して最後に光り(かがや)いた。

 ポンデ爆発。

 そして勝利音楽が流れだした。

 レベルアップ。素材アイテムのゲット。


米粒タケル :さらば、ポンデ

爆裂思春期 :ドーナツ爆散(ばくさん)エンド


「いやー、キツかったあああー。マジで最初キツかったな、ポンデ」

 画面が切り替わり通常フィールドに戻ってきた。

 そのまま三人でスタート地点まで無事に帰還(きかん)拠点(きょてん)できちんとセーブも完了。

「今日はサポートありがとねぇ、ホント助かったわー」

 ソロプレイでは絶対に勝てなかった。リスナーさんには感謝やで。

「明日もフォームマイスターやりまーす。それではエンディングうううー!」

 こうしていつも通り配信(わく)を閉じる。激しい戦いだった。

「ちょいハラ減ったな……。カップ麺あったかなー」

 深夜一時(いちじ)。食事を()るにはよろしくない時間(たい)だ。普通なら我慢する。

 が。

「いや私、Vtuberだから(ふと)らんしょ」

 そうだ。体重の増減(ぞうげん)があったところでキャラデザインは変わらない。私は最強。

 カップ麺にお湯を()れてきっちり三分、待機(たいき)

 私は時間を守るVtuber。

「できあがりじゃあー! さあ(みな)(もの)(いくさ)の時間ぞおーう!」

 ひとりです。

 深夜のためテンションがおかしくなる。

 そしてスープを一口(ひとくち)。さらに麺をすする。

「深夜ラーメンうまー!」

 真夜中(まよなか)のカロリーは美食(びしょく)であります。

 こうして私の一日(いちにち)は深夜ラーメンと(とも)に終わりを()げた。

 ごちそうさまでした。



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