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5/5(月曜)『リスナー参加型ふぉすた』♯2

 先にSNSで今日のゲームを宣伝してから、いつも通り配信開始。

 同接四人。

「はい、どーも号六(ごうろく)ななでーす。今日はリスナー参加型で『フォームマイスター』プレイしまーす」

 フォームマイスターはFPSみたいな一人称視点(してん)ではなく、キャラクターの全身が見える三人称視点のゲームだ。

 オープンワールドのサバイバルクラフト系アクション。

 前回エリアリーダーにあっさりと完敗したので、今回もリスナーさんに助けてもらわないと絶対に勝ち目がない。ってか、まだまだ私が弱いから油断するとザコにも負ける。

 とゆーワケで、すぐにルームを作ってリスナーさんに参加してもらった。

「お時間ある(かた)どーぞー」

 まー、結局いつもの二人(ふたり)しか()なかったけどね。

「前回、この地域のエリアリーダーにボッコボコにされたから、もー少し強い武器ほしいんだよなー」

 フォームをゲットするために封印カードが必要になるが、低級カードでは成功率が低い。

「これ確率アップアイテムとかないの?」


米粒タケル :ダメージを与えて弱らせてからゲット

爆裂思春期 :敵のHP低いとゲット確率アップ


「あー、普通に(けず)ればいいのか」

 現在、装備しているフォームが長方形(ちょうほうけい)。プレイヤーの武器がヤリ。そこそこリーチが長いので通常バトルでは役に立つ。が、これで前回エリアリーダーに負けたので、もっとランクの高いものが欲しい。

「あの立方体(りっぽうたい)って強いの?」

 普通にフィールドをふよふよ浮いている青い立方体。あれもゲットできるはず。


米粒タケル :あれは遠距離タイプ

爆裂思春期 :比較的、安全


「遠距離でチクチク削る感じかー。じゃあ一旦(いったん)(ため)しで」

 アドバイスされた通り攻撃してHPを削る。このゲーム、相手の体力が頭上に表示されるので分かりやすい。

 とりあえず半分以下までHPを減らして封印カードを投げる。

 するとフォームの上に数字が表示されパーセンテージがぐんぐん上昇していく。

 と、百パーになった瞬間、立方体が消えた。すぐにメニュー画面でフォームリストを確認。

「お、立方体ゲット」

 長方形から立方体へ装備を切り替える。プレイヤーの(となり)に立方体が浮かび上がった。

「使ってみっか」

 近くを転がっていた正方形に近づく。

 まず敵に向かって決定ボタンを押すとターゲットマーカーが表示されて『ロックオン』状態になる。そこでもう一度(いちど)、決定ボタンを押すと立方体が高速で射出(しゃしゅつ)され敵に命中。ダメージが(はい)る。

 銃のように連射はできないが、これなら遠距離から確実にダメージを与えることができる。残弾(ざんだん)システムではないのでタマ切れの心配もない。意外と優秀。

「これ、けっこう使えるんじゃね?」

 まず拠点でセーブ。回復アイテムも用意。これなら勝てるかもしれない。

「エリアリーダーのとこ行くかー」

 三人で移動中。

 目的地は分かっているので自然と雑談タイムになる。

「そーいえば今日の(あめ)すごかったねー。完全に不意打(ふいう)ちでしょアレ」


米粒タケル :ゲリラ豪雨(ごうう)

爆裂思春期 :ゴリラ()ーる


「ゴリラ降らすな、大事件やろ」


米粒タケル :集中豪雨だった

爆裂思春期 :ゴリラゴールだった


「ゴリラでシュート決めんな、得点王かよ」


米粒タケル :どしゃ降り

爆裂思春期 :ネタ切れ


「ネタ切れかいっ! ゴリラどこ行った? ドラミングでアピールしてきなさい!」

 三人で全体マップを確認しつつエリアリーダーのポイントに到着。

 フィールドにキラキラ光るエフェクトを発見。前回と同じポイントなので迷いなくそこに飛び込む。

 エフェクトに()れると画面が暗転(あんてん)した。

「さあて、行きますかー」

 画面が明るくなって戦闘開始。

 壁と天井に(かこ)われた大きな空間にエリアボス『リョウケイ』が現れる。

 空中に浮かぶ巨大なひし(がた)。同時に音楽が専用曲に変わった。

「おおう、テンション上がるぜえええー!」

 まずタンク役の爆裂(ばくれつ)さんが盾を(かま)え四角フォームで突っ込む。

 そっちにヘイトが向いたのを確認して、米粒(こめつぶ)さんが円錐(えんすい)フォームで敵の側面(そくめん)からドリル攻撃開始。一気(いっき)にボスキャラのHPがゴリゴリ削れていく。

 その(すき)に私が背後から回り込み立方体で遠距離攻撃。

 あっという()にリョウケイのHPが半分以下になった。

 と同時に攻撃パターンが変化。前回ここで全滅したので、これはすでに予測済み。

 慌てずに距離を取りつつ攻撃を続行する。

 リョウケイの広範囲アタックは確かに凄まじいが落ち着いて見ると射程(しゃてい)距離がメッチャ短い。


爆裂思春期 :あとは任せた


 自分で回復アイテム使いつつ(ねば)っていた爆裂さんが落ちた。

「サポートありがとねー」

 ここで(あせ)ってはいけない。

 このボス専用マップは移動できる範囲が限られている。

 接近戦を続けていた米粒さんも途中で回復が()に合わなくなり撃破された。


米粒タケル :もーちょいだな。行けるべ


「おう、行くべ! 見とけ!」

 敵のHPはもうミリ残しだった。きちんと距離を守っていけば遠距離でいける。

「あれ動けない。ヤバイ、スタックした?」

 操作が言うことをきかない。

 マップの柱に自分のキャラが半分ほどめり込んでいる。バグった、動けない。

「ヤバイ、ヤッバイ、ヤー、バ、ボボボ!」


米粒タケル :落ち着け、ヤボボ

爆裂思春期 :操作して、ヤボボ


「お……アタックは、できる!」

 そうだ、ここで諦めるつもりはない。距離は問題なし。立方体の攻撃なら当たる。


米粒タケル :攻撃とめるな

爆裂思春期 :うてうてうて


「おおう、撃てててーいっや、オラァーッ! っしゃーい!」

 敵からの猛攻(もうこう)

 こっちのHPもかなりギリギリ。もう回復が()に合わない。動けない。

 ダメージをくらいつつ立方体をひたすら撃ち込む。

(けず)れ削れ削れ!」

 そこでリョウケイが光った。急激に輝きが大きくなる。

「ヤッバこれ、ラストアタックくるか?」


米粒タケル :いや、勝ったな


 リョウケイが爆発した。敵のひし(がた)が吹き飛び、不意(ふい)に勝利音楽が流れだす。

「え、勝った? ホントに?」


爆裂思春期 :ホンマやで


 レベルアップ。ステータス上昇。どうやら本当に勝ったらしい。

「うっしゃあああーっ! あっぶねぇ(あぶ)ねぇ。いやあースッキリした。気持ちいいね!」

 エリアボス撃破。

 よく分かんないけどレアな素材をアレコレとゲット。自動的に画面がフィールドに戻ってくる。

「この素材でなに作れるの?」


米粒タケル :封印カードの素材

爆裂思春期 :まず中級カードが作れる


「あー、で。もっと強いフォームをゲットしろってことね」


米粒タケル :これで(となり)の大陸へ行ける

爆裂思春期 :次のボス、メッチャ近いで


 リスポーンで帰ってきた爆裂&米粒と合流。

「ん? エリアリーダーすぐそこにいるの? 近いのかぁ……じゃあ行ってみっかなー」

 ちょっとだけ(のぞ)いてみよう。このゲーム、ボスがしっかり強いから準備きちんとして行かないとまず勝てない。さすがに初見クリアは無理だろう。

 エリアリーダーの攻撃パターンをある程度()ておく必要がある。負けても全ロスしないから安心して突撃できるし。

「お、あれか?」

 歩きで浅瀬(あさせ)を移動して隣の大陸に到着。同じように光るエフェクトを発見して三人で侵入する。

 画面が切り替わりエリアリーダー登場。今回はドーナツみたいに穴があいている。ほぼポンデリング。そのボスの名前が表示された。『リング』というらしい。

「まんまやな」

 (そら)()ぶポンデリングが動いた。かなり遅い。とりあえず通常攻撃で様子を見る。

 が、ターゲットをロックオンした瞬間、超スピードで画面(がい)に消えた。

「はっや!」

 とんでもない速度で視界の外に移動した。今、装備している立方体は相手をロックしたあと攻撃モーションがあってダメージ判定が発生する。

 でもあのポンデリングはロックオンした時点で逃げられる。移動があまりに速すぎる。まったく攻撃が当たらない。

 リスナーさんの二人も、攻撃モーションの途中でリングに逃げられている。二人とも接近キャラなので距離を()けられると打つ手なし。

「ちょ、痛い痛い」

 しかもこのポンデ逃げる時にタマをバラ()いて移動する。

 このゲームには防御というアクションが無いので敵の攻撃はとにかく()けるしかない。

 結局、こちらのHPだけがジワジワ削られていく。

「もー、なあんだよ、こいつーッ! 動くな、()まれ! 眠れ、マヒしろ!」


米粒タケル :このゲーム状態異常とかないから

爆裂思春期 :装備変更しないとムリやね


「なあんやねん、コイツ!」


米粒タケル :ソイツ

爆裂思春期 :ドイツ


「国名じゃねーんだわ」

 ほどなく全滅。またエリアリーダーにボッコボコにされた。

「これどーすりゃいーの? 装備は連射系がいいの? もっと遠距離とか?」


米粒タケル :広範囲アタックとかね

爆裂思春期 :バラ()けば当たる


「くっそ、ちょい(べつ)のフォーム探してくるわ。今日はここまで!」

 リスポーンでスタート地点に帰ってきた。拠点できちんとセーブ完了。

「明日もフォームマイスターやりまーす。それではエンディングうううー!」



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