表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/8

5/4(日曜) 『マニュアルこな落とし』♯2

 準備完了、配信開始。

 数字を確認する。現在、同接三人。

「はい、どーも号六(ごうろく)ななでーす。今回は和風ファンタジー『マニュアルこな落とし』というRPGをやっていきまーす」

 最初のアンカーでゲットしたジョブが『(くろ)魔術師、(しろ)魔術師、(さむらい)格闘家(かくとうか)』の四種類。

 まー、この(へん)はありがち普通ジョブなので説明はいらんでしょ。ジョブレベルを上げると(べつ)のジョブへ変更しても能力が引き続き使えるってシステム。だから攻撃魔術を使える白魔術師とか、回復が使える戦士(けい)とか。

「レベル上げたし、ストーリー進めるかー。そういえばオープニングであのブラックホールに山が飲まれたよね。ちょっとそっち(のぞ)いてみっか」

 最初の村のすぐ上にスタート地点の山がある。ドット絵RPGは全体的にマップが(せま)いので迷子になりにくい。

「マップ(ちい)さいと分かりやすいから助かるよねー。最近のオープンワールド系のゲームって最初からどこでも行けるから、絶対迷子になるんよ」


米粒タケル :自由度、高すぎるヤツね

爆裂思春期 :背景が似てると方角を見失(みうしな)


「そうそう、まさにそれ……あ、神社ちゃんと残ってるわ。ブラックホールに吸われたかと思った」

 初期イベントで山が少し(けず)られグラフィックが変わっているが、ちゃんと神社とアンカーはそのまま残っていた。

 小さいマップをウロウロしていると神社のそばに宝箱が転がっていた。なぜかあっちこっちに存在するRPGあるある。

「ああ、(たから)ばきあったわ」


爆裂思春期 :宝ばき

米粒タケル :()んだ


「やかましい」

 このゲームは普通に武器、防具の装備と、アクセサリーとして装飾品(そうしょくひん)がひとつだけ装備できる。

 宝箱『月型(つきがた)根付(ねつけ)』を手に入れた。

「効果は毒、マヒ無効(むこう)序盤(じょばん)から優秀なアイテムくれるな」

 最初の村で武器と防具を整え準備完了。ついでに豚骨ジイさんの話を聞いていく。


豚骨【古い文献(ぶんけん)を調べなおしてみたんじゃが、空に浮かぶあれはワリシタというらしい】


「ラーメンのワリシタってなんだっけ」


米粒タケル :ラーメンのタレ

爆裂思春期 :味付(あじつ)けだし(じる)


「ここのスタッフ、メッチャラーメン好きなんだな……ラスボスなんだろう。魚介(ぎょかい)あっさり系か?」


米粒タケル :こってり系か

爆裂思春期 :ピッタリ系か


「急に密着(みっちゃく)してくんな」


米粒タケル :もちもち系か

爆裂思春期 :どっさり系か


「モチモチ大盛(おおも)り……胃もたれしそうなラスボスやな」

 とりあえずジジイの話を聞く。


豚骨【あのワリシタに意思はなく、ただの現象にすぎん。最終的に破壊するしかない】


「あのワリシタっていうブラックホールに大地が吸われるから、魔力をもったアンカーを発動して世界を地上に固定しましょうって物語か」

 だいたい話の(すじ)は見えた。

「次のアンカー探しに行こか」

 スタート地点が全体マップの北側にあって、大陸そのものが南の方向へ続いている。マップがシンプルなのでそのまま南の方角へ向かう。

 普通にザコ(せん)(かた)()けつつ大陸の南側へ。

 すると洞窟(どうくつ)()(ぐち)が見えた。

(はつ)ダンジョン突撃ー。お邪魔しまーす」

 ダンジョン内部へ画面が切り替わる。

 洞窟のいたる所にやたら水溜(みずたま)りがあった。(うみ)沿()いのダンジョンって感じだ。

「うわ、毒くらった」

 ザコ戦そのものは苦戦しないけどやけに毒属性の敵が多い。

地味(じみ)にイヤな攻撃してくんな、こいつ」

 毒無効のアクセサリーはひとり分しかない。

解毒(げどく)のアイテムもっと買ってこようかな」


米粒タケル :最初の村に無効アクセあるよ


「アクセ屋あったっけ? いったん戻るかー」

 無理はしないタイプなのですぐスタート地点に戻る。

「えーっと、村で武器防具は(そろ)えたけど、アクセ屋……あ、あるわ」

 普通に見逃(みのが)していた。村のメッチャ(すみ)っこにポツンと小屋がある。

「毒のみ無効、マヒのみ無効、眠りのみ無効……まあ仕方(しかた)ない買っていこう」

 キャラクターに毒無効の装飾品を装備させてまた海ダンジョンまで進む。

 最初のダンジョンなので迷子にはならなかった。複雑な迷路(めいろ)もなく苦戦もせずサクサク奥まで行けた。

「お、ボスキャラおるやん」

 見えた。

 画面の奥になんかいる。その後ろには巨大なアンカーがあった。

「レベルは大丈夫だし、いけるか」

 そのままボス戦に突入。

 パッと()ウナギだった。

「こいつ目が六個あるよ」

 名前、ムツメウナギ。

「まんまやな」

 まず様子をみて普通に攻撃。打撃(だげき)も魔術も普通に()く。どうやら最初のボスだから難しいギミックもない。

「ゴリ押しで行けるかー」

 そのままブッ叩いているとムツメウナギがいきなりクリティカルをかましてきた。塩キャラのHPがごっそり減る。

「いってえ、ヤバイ、死ぬ死ぬ死ぬ」


米粒タケル : ちぬちぬちぬ

爆裂思春期 : (いぬ)犬犬


「今日のワンコじゃねえんだわ」

 キャラをしっかり育てていたので味噌、塩、正油みんな回復魔術を使える。

 一応(いちおう)キャラごとにやや性能に差があって、パワーの味噌、スピードの塩、防御の正油となっている。

 ここはスピードの高い塩に回復を任せて(ほか)ふたりに攻撃を任せる。

「こーゆー時バフデバフ大事(だいじ)って思うよねえ……でも今のジョブってバフもデバフも使えないから不便(ふべん)だなー」

 お互いにひたすら殴り合いである。


米粒タケル :敵にデバフ(はい)ると(らく)だよね

爆裂思春期 :部屋に(はち)(はい)ってきたヤバイっぴ


「頑張れっぴ」

 軽く流す。

 なんかリスナーさんが大変なことになっているが、私は今ボス戦なのだ。ハチとフリースタイルで戦ってくれ。

「安全に回復、攻撃と……」

 数ターンかかってダメージを与えていると、画面がフラッシュしてムツメウナギが消えていった。

「勝った!」


米粒タケル :やった!

爆裂思春期 :逃げた!


「あ、ハチ逃げてった? おー良かった良かった」

 リスナーさんのほうが超バトルで(あば)れ回っていた可能性アリである。

 で、ウナギの後ろにあったアンカーを調べる。


アンカー【よくぞ封印を()いてくれました。人間たちよ、感謝します。さあ新たなチカラを受け取りなさい】


 ファサード解放。新ジョブゲット。

 主人公たちに新たなチカラを(たく)して、アンカーが地面にドガーンとめり込んだ。

 これを()り返せば世界を固定できる。たぶんラスボスが空に浮かぶ『ワリシタ』っていうブラックホールなんだろう。

 まずは新ジョブのチェックだ。

「新しいジョブは……符術師(ふじゅつし)と忍者ね。忍者はメッチャ回避率が高くて、符術師が……お、サポート系だ。やっとバフデバフ使いが登場したわ」

 回復(やく)の塩を符術師(ふじゅつし)に変更。アビリティで白魔術をセット。これでバフデバフ回復と色々できるキャラになる。

「今日はこんなトコかなー」


米粒タケル :キリのいいとこで終わるべ

爆裂思春期 :いい汗かいたべ


「また続きやるべ。RPGは土曜日曜でゆっくりやりたいので続きは来週でーす。エンディングうううー!」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ