5/3(土曜) 『マニュアルこな落とし』♯1
SNSでゲーム開始の告知を流し配信スタート。できればひとりでも多くのリスナーさんを吸い込みたい。
配信活動は気長にやっていくつもりだけど、ずーっとチャンネル登録ひと桁は正直キツイ。
「はーい、お待たせしましたー。号六ななでーす。土曜、日曜はRPGやっていきまっす。ドット絵が好きなので今回のRPGはこちら『マニュアルこな落とし』というゲームです。もう二十年くらい前のドット絵RPGになりまーす」
これもリメイクで移植されて、今ではPCで遊べるようになった。
登場人物が和服っぽい衣装を着た和風ファンタジーだ。
現在の数字を確認。
お、同接四人。珍しい、通りすがりの人がいるな。
こーゆー古いレトロゲーをやると『昔このゲームやってた』って人が偶然、見にきてくれることがある。ありがてえー。
まずゲーム開始。オープニングは静かな立ち上がりだった。
どこかの村。
簡素な着物姿の少年たちがどこかの山奥で遊んでいる。
「なんか風景が懐かしい感じするよね」
米粒タケル : 古き良き田舎
爆裂思春期 : なぜか安心する
三人の少年。
その時、突然、大地震が起きて少年たちが転げ落ちていった。
画面が切り替わるとそこは神社だった。
味噌【こんな所に神社なんてあったか?】
塩【知らないよ】
正油【行ってみよう!】
「いやいや、完全にラーメン屋の定番メニューやん」
爆裂思春期 :主人公の名前やねん
米粒タケル :開発スタッフのセンス
「尖ってんなー」
少年たちは赤い鳥居を抜けて神社の中へ。
画面が切り替わって神社の内部。
そこにはなぜか巨大な打ち込みアンカーが床に食い込んでいた。工事現場で、地面とかに突き刺して固定するヤツ。
アレのでっかいバージョンが神社の床に突き刺さっている。
アンカー【よく来ました人間たちよ】
正油【しゃべった!】
塩【逃げようよ】
味噌【ちょっと待って】
アンカー【世界は崩壊します。どうかこのチカラ『ファサード』を使って世界を守ってください。どうか、どうか】
すべてが光に包まれ少年たちは村の近くに移動していた。
味噌【いったん村へ戻ろう】
正油【豚骨ジーサンに相談だな】
塩【豚骨ジイは物知りだからね!】
「次、トンコツ出てくるの?」
村に戻った少年たちがすぐそばの小屋に移動すると、そこには白髪のおじーちゃんがいた。
塩【豚骨ジイ!】
豚骨【おお、なんじゃ】
ドット絵なのでザックリした表現になっているが、少年たちのカラダからキラキラと光が溢れている。
豚骨【これは……古い書物で読んだことがある。世界に危機が訪れた時、輝くチカラが世界を救うと!】
味噌【俺たちが世界を救うのか? どうやって?】
再度、突然の地震。
慌てて外に出たメンバーが見上げた先。空にブラックホールみたいな真っ黒な球体が浮かんでいた。
その黒い球体が真下にあった山の一部を吸い上げ飲み込んでしまった。
正油【山が飲まれた!】
味噌【どうすりゃいいんだ。このままじゃ世界が】
豚骨【書物で読んだ通りなら、世界によっつの封印があると書かれておった】
塩【あの神社のアンカーかな?】
豚骨【お前たちはそのアンカーから何かチカラを託されたはず。世界を旅してすべてのアンカーからチカラを授かるのじゃ! そして世界を救ってくれ!】
「あー、こういう展開ねー」
米粒タケル :救おうぜ、世界
爆裂思春期 :お祭りで魚とるやつ
「それ金魚すくいな」
金魚を全部すくうのは大変すぎる。世界を救うより困難かもしれない。
で、そのあと村の物知りジーサンに軽くチュートリアルを教えられた。
豚骨ジイの説明では『ファサード』というのは要するにゲームのジョブチェンジだった。
職業を変更して色々なアビリティをゲットして回復とか攻撃魔術を覚えてキャラを成長させるシステムらしい。
「こーゆーRPGってさ、ほかのゲーム実況者さんってけっこう低レベルクリアめざす方が多いでしょ」
米粒タケル :低レベルのほうがバトル熱いからね
爆裂思春期 :ボス戦でギリギリ接戦になったり
「ねー、それは分かるんだけど私メッチャレベル上げるの好きで、圧倒的な火力でボスとか、ぶっ飛ばしたいタイプなんよ」
米粒タケル :分かる
爆裂思春期 :ほなレベル上げるか
「だねー。まずレベル上げるかー」
この味噌、塩、正油の三人がメインキャラなので、村の周辺でコツコツレベル上げをはじめる。ゲームシステム自体は案外普通のRPGなのでシンプルだ。
素直にレベルを上げていけばいい。こうなると配信そのものに緊張感がなくなるのでだいたい雑談タイムになる。
爆裂思春期 :ななちは企業勢にはならんの?
「あー、今まで配信で言ってなかったっけ? メッチャ私オーディション落ちまくってるからね」
爆裂思春期 :そーなの?
「ホント、ホント。しかも私すっげー歌、苦手で」
米粒タケル :最近は歌の審査あるって聞いた
「それでオーディション落ちまくったんじゃないかなー。企業さんにもよるけどね……何回も応募したのに全滅したからね、私」
爆裂思春期 :厳しい世の中やで
「ん。だから歌枠やらない。歌はマジ無理」
米粒タケル :ASMRは?
「あー、あれハマる人はすっげーハマるって言うけど。私、自分で実験してみたけどさー、マイクが拾う自分の吐息が気持ち悪くてダメだった。全然リラックス効果ないよアレ」
爆裂思春期 :じゃあ3D配信とかできないの?
米粒タケル :3Dライブ配信?
「ムリ無理! それこそ絶対ムリ。だってあれ調べたらさー、大手企業さんは3Dキャラでカラダ作ってもらって歌とかダンスとかライブ配信できるけど、私みたいな個人勢には到底ムリよ。ガチの3D職人さんに仕事を依頼すると見積もりでとんでもない金額を提示されるからね。金額でビビるよ。自分の3Dキャラなんて絶対つくれない」
こっちはバイトでかろうじて息している底辺やぞ。毎日の生活あるんじゃい。自分の大事なキャラクターだからってそんな予算ねーわ。
「ホントこれが現実なんだよねえ」
米粒タケル :しみじみ
爆裂思春期 :ジメジメ
「まだ、はえーだろ梅雨の時期は」
米粒タケル :じっくり
爆裂思春期 :コトコト
「シチュー作ってるアンタたち?」
米粒タケル :このドリンク
爆裂思春期 :キンキンに
「冷えてやがるー! あ、同接、逃げた。くっそ逃した……」
現在、いつものふたりのみ。
新規さん逃亡でテンションがた落ち。
ゲームのメニュー画面で状態を確認しつつ。
「キャラのレベルけっこう上がったし。全員、回復と攻撃魔術覚えたな。まだ序盤だし下準備、完了やね」
ストーリー進めるのは明日にしようかなー。
「じゃ、ちょっと早いけど今日はこの辺にしとこかな。それではエンディングうううーっ!」