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車窓から  作者: 緋色ざき
2/2

恋慕

 飯能駅から西武秩父線に乗る。

 そして、二人がけの青い座席に座る。車内を見渡すと、ちらほらとカップルの姿が見えた。私はすぐに視線を目の前の車窓へと戻した。

 電車が出発する。そして、目の前を山や川、木々、住宅が通り過ぎていく。

 そういえば、彼も自然が好きで、一緒にいろいろなところに出かけたな。

 カバンからスマホを取り出し、彼とのメッセージ画面を開く。

 通話マークで終わっている会話。

 この日、私は彼と別れた。

 その話を切り出したのは彼だった。久しぶりの通話。返信が遅かったり、デートの誘いを断られたりで苦しかった私にとって、その時間は喜びになるはずだった。けれども、その通話内容はと言われれば、終始別れ話だった。別れたい彼と別れたくない私。一時間以上の話し合いの末、結局私が折れた。

 本音を言えば別れたくなかった。でも話していて彼の心はすでに私から離れてしまっていることはまざまざと伝わってきた。そしてそれは私の淡い期待を打ち砕いたのだ。

 それから一ヶ月経っていまに至る。

 私の彼への思いは一向に消えそうにない。友達から男性を紹介されて会ったりもして、素敵な人もいたけれど付き合おうとは思えなかった。

 いまだって、隣に彼がいて一緒に出かけられたらどんなに素敵なことだろうと考えてしまう自分がいる。

 それはひどくむなしくて、叶うはずのない泡沫の夢。けれどもそんな夢を空想してしまう。

 そんな私をなんとか変えたくて、気分転換もかねて一人旅に出かけた。でもいまのところ彼は私の頭の中から消えてはくれないみたいだ。

 この旅が終わったとき、私はどうなっているのだろうか。彼を忘れて新しい一歩を踏み出せたらいいな、なんて願いたいのに、それ以上に彼を思ってしまう。

 この旅路の中で、私の感情は車窓から見える景色みたいに激しい起伏を繰り返すのだろう。私は思わず天井を仰ぎ、小さく息を吐いた。 




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