3話③
僕の名前は新田虎之丞
高校一年生
そして、僕は今絶賛片想い中
相手は学校の先生
「天野先生!」
授業が終わり、職員室に向かって廊下を歩いている先生に僕は声を掛けた
「新田君、どうしたの?」
「あっ、今日の授業でやったここの問題なんですけど……」
「ああ、これ?」
「はい」
僕はこうやって毎回天野先生に声を掛ける
本当はわからない問題なんて何一つない
でも、天野先生と仲良くなる切っ掛けがほしいから
だけど、天野先生は僕のことはただの勉強熱心な生徒だと思っているようだ
僕が天野先生のことを好きだなんてこれっぽっちも思ってもいない
いっそ、もう、コクってしまおうかな
天野先生に恋人はいない
これは、本人に確認済みだ
だけど、笹本 先生と天野先生の仲は怪しいと思っている
だって、二人の距離感はやたらと近い
そのことを天野先生にも笹本先生にも聞いたことがあったが、二人とも、
『高校も大学も一緒だったからね、他の先生たちにくらべたら、距離感近いように見えるのかな』
なんて言って、微笑んでいた
確かに天野先生は笹本先生に対して恋愛感情はないと思う
でも、笹本先生は明らかに天野先生に対して恋愛感情を抱いている
あんなオッサン教師に天野先生を取られるくらいなら……
天野先生は絶対に僕がオトシテみせる