2話①
「俺、着替えてくるから、テキトーに座って待ってて」
「うん」
僕は同僚の笹本尚の家に来ている。尚とは、高校も大学も一緒だった。そして、勤めている学校も一緒
『俺たち縁があるんだな』って、尚はいつも笑いながら言っている
「ヒナ、そのままだったら、スーツしわくちゃになるだろ、俺の服貸すから着替えて」
「うん、ありがとう」
僕は尚に渡された服に着替えた
「今、つまみ作るから、待ってて」
「僕も手伝うよ」
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「ヒナ、あんまり飲み過ぎるなよ」
「わかってる」
尚は僕が悩んでいる時は必ずと言って良いほど、こうして、僕と一緒にお酒を飲んでくれる。でも、何で悩んでいるかとかを無理矢理聞き出そうとはしない。でも、いつも、僕が何で悩んでいるか気付いてくれる
「伊集院と何かあった?」
「あったというか……」
僕は言うかどうか迷ったが、再会してからの伊集院君の行動を全て話した
「それ、完全にストーカーだろう」
「うーん?でも、伊集院君も悪気があるわけじゃないと思うんだ、多分、僕の作るご飯が懐かしいだけだと思うから」
「懐かしい?」
「うん、ほら、僕と伊集院君の家って隣同士だったでしょ。伊集院君って一人暮しだったのに、料理全然できなかったから、僕がいつもご飯作ってあげてたんだよね」
「………」
「伊集院君はさ……」
あれ?何か眠くなってきた……
「ヒナ?」