10話③
僕の目の前には、神宮寺璃音がいる。そして、僕の横には玲音が立っている
「俺を理事長室に呼んで、俺達の関係がバレたら、マズくないのか?」
「転入してきたばかりの生徒を呼んだんだ。手続き上のことだと言えば問題ない。私達の関係がバレることはない」
玲音はそう言って、一呼吸おくと、
「それよりも、私は、新田虎之丞の行動を逐一報告しろと言った筈だ。屋上で二人で昼食を食べるくらいには仲良くなったようだが、報告がないのは何故だ」
と、言った
「俺のことも見張ってるのか?」
璃音が、僕と玲音の顔を見ながら言う
「見張ってるだなんて、人聞きの悪い」
僕は言う
「虎之丞は至ってマジメな生徒だ。成績優秀、スポーツ万能、誰とでも仲良くできるイイ奴だ」
「そんなことを聞いているのではない」
「じゃあ、どんなことを聞きたいんだ?恋愛関係のこととか?」
冷静さを保っていたつもりだが、もしかしたら、顔色が少し変わったかもしれない
「人の恋愛事情に口出すなんて、それは、理事長としての立場からなのか?」
「そうだ。教師と生徒の恋愛はPTAや教育委員会が煩い」
僕は言う
「理事長としての立場ね、でも、そんなことに目くじらをたてられるような立場のか?」
「どういう意味だ」「どういう意味だ」
玲音と僕が同時に言う
「どういう意味だって、言葉どうりの意味だよ」
「……」「……」
「お前は、オヤジに子供と妻を捨てさせて、秘書兼恋人にしているじゃないか。そんな奴が生徒と先生の恋愛に関して、とやかく言えるのかってことだよ」
「お前などと言うんじゃない。瑠華様だ。ましてや瑠華様は…」
「僕のことを何て呼ぼうがどうでも良い。それよりも、玲音は恋人ではない」
僕は言う
「恋人ではない?世間では二人は恋人同士でペアリングをしていると思っているぞ、俺もそう思っているけどな」
世間ではそう思っている?まさか、陽向もそう思っているのか?
「これは、瑠華様とのペアリングではない。遠目から見ると似ているが、近くで見るとデザインが少し違う。それに、これは、璃華様とのペアリングだ」
「俺は、オフクロが、そんなデザインの指輪しているのなんて、見たことないぞ」
「璃華様は立場上人目のあるところでペアリングなんてつけられないからな、見たことなくても仕方ない。だが、璃華様は今も、大事に持っている筈だ」
「僕の指輪は、彼とのペアリングだ」
「彼?」
「僕が高校を卒業する時に彼に指輪を贈っている。だが、彼は、その指輪を身につけてもいないし、持っている様子もない」
「彼とやらが誰かは分からないが、そんなの直接本人に聞けば良いだろう」
本人に聞けば良い。か…さすがは、璃華の息子だ。はっきりと、物を言う。そうだな、聞いてみるか




