5話①
「天野先生、彼とはどういう関係なんですか?」
僕は今理事長室で尋問を受けている
何故こうなったかと言うと、今日体育祭で新田君が僕に抱きついてきた所を理事長に目撃されたからだ
新田君は僕に宣言していた通りに体育祭のサッカーの試合で大活躍していた。そしてシュートを決める度に僕に向かって手を振っていたが、新田君のクラスの優勝が決まった瞬間、僕の所に駆け寄って抱きついて来た
そして、今日は体育祭だからと学校の様子を見に来ていた理事長がこの瞬間を見ていて僕は理事長室に呼ばれた
相変わらず理事長の隣にはイケメン秘書がピタリと付いている
「教師と生徒です。新田君は大事な生徒です」
「大事な生徒?それは彼だけが特別だと言うことですか?」
「何を言っているんですか?新田君だけが特別だと言うことはありません。僕はこの学校の教師なのだから、この学校の生徒は皆大事です」
「でも、今日の様子だと誤解されてしまいますよ」
「誤解?」
「ええ、あれだとまるで天野先生と彼は恋人のように見える」
「何を言っているんですか?そんな風に見える訳ないじゃないですか」
「でも、一部の生徒の間ではそんな噂もあるようですよ」
「噂?伊集院グループの次期社長と言うお立場の方がそんな噂だけで判断するんですか?」
少なくとも僕が知っている伊集院君は噂だけで人を判断するような人間ではなかった
十年の月日は人を変えるのだろうか?
もう、僕が知っている伊集院君ではないんだな
「そう言う訳ではありませんが、教師と生徒の恋愛は教育委員会やPTAが口やかましいので、誤解を招くような行動はしないように気を付けて頂きたいと言うことです」
「誤解を招くような行動など、何一つしていないはずです。理事長、もう、宜しいですか?」
「帰っても良いですよ」
そう言ったのは何故か理事長ではなく、イケメン秘書だった
「では、失礼致します」




