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4話②
もうすぐ体育祭がある
グラウンドでは生徒達が体育祭に向けてサッカーの練習をしている
ヒナがさっきからずっとそれを見ている
「何を見てるんですか?天野先生」
俺は後ろから声を掛ける
「笹本先生」
「サッカー見てたのか?」
「うん、なんか懐かしいなあと思って」
「……」
んっ?生徒がこちらに向かって走ってくる?
新田君だ
「天野先生~」
「どうしたの?練習は良いの?」
「うん、もう終わりだから、それよりさ、僕、体育祭で絶対活躍するから僕のことちゃんと見ててね、あっ、僕片付けとかあるからもう行くね」
新田君はそう言うと俺の耳元でヒナには聞こえないような小さな声で
「あんたみたいな、オッサン先生に天野先生は渡さないから」
と、言うとグラウンドにまた戻って行った
オッサン先生ね
俺、まだ二十八なんだけどね
それに、俺がオッサン先生だったら天野先生もオッサン先生なんだけどね