シンデレラの姉
「ねえ、レラ聞いてよ~。」
翌朝、私はレラに昨日あったことを話すために、レラの席の隣に向かった。
「ん~?どうしたの麻衣?」
今日日直であるレラが日誌を書きながら、私の言葉に相槌を打つ。
「なんかね、昨日部活から帰ってくる最中にね、すご~いイケメンに出会ったの。」
「すご~いイケメン...?どんな見た目だった...??」
私が、イケメンといった瞬間にレラはシャーペンを動かす手を止めた。意外と、レラは面食いなのかっ!と思ったけれど、レラの顔を見た瞬間にその考えが間違いだったことに気づく。レラの顔面は蒼白で、額には汗が浮かび、体はがたがたと震えていた。
「レラ!大丈夫?なんで震えてるの?」
「大丈夫だからっ!どんな見た目だったか教えて!」
レラが今まで見たことのないほどに必死に私の目を見て頼んでくる。
「えっ...とね、夜の闇みたいな髪に...」
「もうすぐ夜が明ける空みたいな瞳。」
私とレラが顔を見合わせた。レラは、さっきよりもさらに青ざめて、体の揺れは遠くから見てもわかるほどにひどくなってしまっている。
「レラ?大丈夫?」
私の声掛けもむなしく、レラは何かをぶつぶつとつぶやいて、失神してしまった。
それから、クラスの子が呼んでくれた保健室の先生が教室にやってきて、レラは担架で保健室に運ばれていった。友達が倒れるなんて初めてのことで怖かった。怖くて怖くて仕方なかった。死んでしまうのかもしれないとかも考えてその日の授業は全く頭に入ってこなかった。すると、担任がチョイチョイと私を手招きした。
「淵野さん、保健室に行ってください。保健室の先生が待っています。」
保健室、という単語にびくっとして私は走って保健室に向かった。
「レラっ!大丈夫?」
私が保健室に飛び込むとそこには、私よりも少し年上ぐらいの女性が二人、椅子に座っていた。青いワンピースを着ている女の人が椅子から立ち上がって私に聞いた。
「あなたが麻衣ちゃん?」
「はい、そうですが。」
息を切らしながらそう答えると、緑のワンピースを着たもう一人の女性が言った。
「私はリナ。レラの一番上の姉。」
そして青いワンピースを着た女性が言った。
「私はシア。レラの二番目の姉。」
「お二人が、レラがよく自慢しているお姉様方ですか?どうしてここに?」
リナさんが私に言う。
「今何が起きているか、気になるでしょう。」
「はいっ!それはもうもちろん。」
「信じないかもしれないけど、」
シアさんは、こちらに歩み寄りながら言う。
「いえ、何を言っても信じます!」
それくらい必死だった。レラの身に何が起こっているのか知りたかった。すると、
「王子から逃げているって言っても信じる?」
シアさんとリナさんが私の目を見て言った。
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