表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンデレラ  作者: カバ
3/7

シンデレラの涙

「えっ、レラ...泣いてる?大丈夫じゃないよね??」

「泣いてないよ。ただ目にゴミが入っただけだよ。時間なくなっちゃうから、質問するね。」

強がって質問を続けるレラは何かにおびえているみたいで、何かから逃げているようだった。それから、なんで泣いたのか聞けないまま、その時のことはなかったことのようになった。

あれから、数週間。三月になりかける日のことだった。席が近くなって以来、なんとなく私たちは仲良くしていた。なんとなく、というよりはかなりべったり仲良くしていた。あの日のことは、触れられたくないようだったから、なんで泣いたのか聞くことができないのが少し気がかかりだけど。レラは知れば知るほどイイ子だった。動物が大好きで、お掃除したり、料理したりするのも得意なthe女子の鏡みたいな子。それだけ聞けば、まじめな感じもするけれどほんとに親しみやすくて、気さくで。けど最近。レラはよくボーっとするようになった。何かを考えているかのような。何かに悩んでいるかのような。悩みがあるなら相談してほしいけど聞いてほしくなさそうな顔をしているから、聞きたくても聞けない。

 その日は、久しぶりの部活の日だった。私は、部活なんかもめんどくさくなってしまって成績の為の様な半ば、帰宅部の様な部活に一応入っている。レラは、いろんな部活から勧誘を受けていたみたいだけど、どの部活にも入らなかった。今日のレラもなんだかぼーっとしていて、会話もなんだかつながらなくて。悶々と考えていたら、人にぶつかった。

「あっ。すみません。」

ぶつかったのは、私と同じくらいの男の子だった。多分、中学生。背は高めで、キリっとしたイケメンだった。夜の闇みたいな髪ともうすぐ夜が明ける空みたいな瞳が印象的な男の子。この辺りにはいない、イケメン。ふと、レラを思い出した。二人が並んだら、美男美女できっと美しいんだろうな、なんて。

「あの、不躾かもしれませんが、お尋ねしたいことがあるのですが。」

「へ?」

イケメンが喋った。声までかっこいいけど、質問って何だろう?道案内かな?私、地元の地理も微妙なほどに方向音痴なんだけどなぁ。

「この辺りに、最近転入してきた女の子はいますか?」

「は?」

え?この辺りに、転入してきた女の子?知ってどうなる。何聞いてんのこいつ。こんなイケメンな顔しておいて実は犯罪者予備軍か。私が思い当たる、転入してきた女の子なんてレラくらいしか思い浮かばないけど、本能的にこいつにそれを教えるのはおかしいし、友達の個人情報をうかつに渡す趣味もない。

「何言ってるんですか。あなた。」

そう、言い残して私はそいつの前から立ち去った。

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ