66、スライムすげぇ②、トルマ&ハルvsクリス&イヴ
スライムつおい(^ω^)
「じゃあ、このコインが合図だ」
「………わかった……」
俺達は適当に距離をとり、決闘の準備をする。
コインを指で弾き聴いてて心地のいい金属音の余韻に浸るのも束の間、コインが地に落ちる、落下音を聞いている暇はなかった。
『詠唱省略、全武器無差別早撃乱射』
「どわっと!!」
「ワワワワ!!?」
俺とトルマは左右に転がって避ける、元々狙いはつけずに出鱈目にばらまいているだけなので避けるのも容易い。
しかし、この攻撃は当てるのが目的ではなく、俺達の体勢を崩させることが狙いだ。
『発疹皮膚武器展開、魔硬化工程完了、空弾装填、発射準備完了、反動加速砲!』
『発疹皮膚武器展開、魔硬化工程完了、砲弾装填、砲身鉄拳制裁』
イヴは反動加速砲で近づいて砲身鉄拳制裁で俺をぶん殴ってくる。
しかし、俺だって伊達に進化したわけじゃない、両手を構え、全力でイヴの攻撃を受け止める。
『………砲身鉄拳ーー」
「集中!!!」
『我奪う敵の注目、挑発囮!!』
『ーー追射撃ッッーー?!?』
いつも通りのイヴの追撃が俺を貫かずに、トルマの方へ砲身が向き直る。
砲弾はトルマに着弾、しかしゼリー状の体の中を貫くもすぐに元の形に復元する。
「トルマ、大丈夫か?」
「ダイジョウブデス、ボス!!」
彼女は撃ったと同時に顔を驚愕に染めるも、即座に距離を離し分析を開始する。
「………何………今の……?」
「イヴさん!!、多分トルマちゃんはタンクになったのではないかと!」
「………タンク?」
「はい、敵の攻撃を一手に引き受ける壁役、タンクです、確かタンクには相手の攻撃を自身に集中させるスキルがあったはず、魔物を戦闘職につけるテイマーなど聞いたことはありませんが………」
「………へぇ……じゃあまずはあっちから倒したほうがよさそうだね………」
「ええ、ですが、スライムには高レベルの物理耐性がついています、イヴさんでは分が悪い、ここは私がーー『天界より放たれし聖槍よ、不浄の闇を貫け!!光り輝く聖槍!!』」
離れたれた聖なる槍は目にも止まらぬ速度で一直線にトルマへ飛翔。
狙い通りトルマに着弾、聖槍は刺さった数瞬後、爆発、その爆発は火ではなく全て閃光で構成されていて敵ながら美しく見惚れてしまう。
スライムは高レベルの物理耐性を持っているが、属性攻撃や魔法スキルに弱いため光属性の魔法スキルなら倒せる、そう判断したのだろう、そしてソレは間違いではない………そう相手がトルマでなければ……な。
「フフフフ、キキマセン!!」
「なっーー、何故………ま、まさか魔法耐性や属性耐性をつけさせたのですか?」
「おうよ、流石に全属性は間に合わないんで、お前らの得意属性に絞らせてもらったがな」
例外的にスキルは閃いたり、持っているスキルから派生したりする、だが基本的にはレベルを上げた時に得るスキルポイントを使い覚える、そして殆ど体力を上げるスキルや魔法耐性スキル、属性耐性スキルをつけさせた、本来なら最初にタンクが取るのは物理防御だが、スライムには高レベルの物理耐性がついている、だから物理防御系のスキルを取らずにそのスキルポイントを節約、その分を他のスキルに回せたのでレベルの割には強い………と思う。
「…………なら倒れるまで……撃ち込むだけ……」
「させるかよ!オラ!!」
「ッッーー、こんなもので」
『我焼き払う子竜の吐息!子竜火ノ粉!!』
『ーー全身魔硬化皮膚』
イヴがトルマに攻撃を仕掛ける寸前、彼女の初撃を転がって避けた時に手に握り込んだ砂をぶち撒ける。
しかしそんなものでは一瞬怯ませる程度だと分かっていたので、追撃に口から火の粉を吐く俺。
彼女は即座にクリスの前に立ち、防御を固める。
「ダァァァァ!」
「ッッーーフン!!!」
火を突っ切り黒い竜人がイヴに殴りかかる、砂と火で怯ませられた彼女は驚愕……するも硬化した拳で迎撃する。
「ヒッカカリマシタネ!」
「ッッーー、フェイク!!?」
ーー瞬間、竜人の体はイヴの拳に貫かれ、その間に俺は後衛のクリスへと肉薄する。
「なっーー!!?」
『我が両拳に火種の殴打!!子竜火山突き!!』
「ッッーー!!!」
クリスは顔への攻撃は何とか杖で防ぐも、腹へ一発もらい、吹っ飛ぶ。
「ーーゴフッ」
「クリスーー」
「捕食!!」
「ハイ!」
「ッッーー、ーーーゴボッ、ゴボボッーー!!?」
吹っ飛んだクリスに気を取られた瞬間、イヴの腕に貫かれたトルマは彼女を自身の体の中に飲み込んだ。
息はできず、脱出不可能な牢獄へ収監される彼女。
中で暴れるも、スライムには物理攻撃は効きづらい。
「勝負あり………かな?」
「ですね………ここから逆転はできなそうです」
俺の呟きにクリスは素直に白旗をあげる。
(๑╹ω╹๑ )




