104、side宮廷歌姫の歌声①
つおい(^ω^)
「悪いな、君には死んでもらう」
「………え?」
雀斑だらけの顔、鳥の巣かのようにはねまくりの赤と茶色が入り混じった汚い髪、身長は低く、体型は比較的痩せているが、足は大根。
………お世辞にも美人や美少女などは言えない少女、つまり私、リリアーナは自室にてこの国の兵士に死を宣告される。
「………理由を聞いても宜しいでしょうか?」
「……………顔役の歌姫が死んでしまった………」
「ッッッーーーー………それで声役の私は不必要だと?」
「ああ……この国の光、国民の生きる希望、そしてこの国の貿易は美しい歌姫によって成立している、そんな歌姫がまさかお前のような醜い女と知られたらどうしようも無い、この国も終わりだ、生かしておけばどこでどう情報が漏れるかわかったものでは無い………王と宮廷の重鎮が話し合い、決めた決定だ………」
「だ、だったら次の顔役の歌姫を見つければいいじゃない!」
「………次の顔役は決まっている……しかしながらお前とは歳が5、6歳違う、そんな小さい齟齬で国民にバレたら面倒臭いだろ?、声役ももう決まっている、お前はお役御免なんだ………」
………この国の名物の美しい歌姫は代々表舞台に出す為の見目麗しい顔役の歌姫と裏で歌う声役の歌姫、この二人羽織で成り立っている。
…………まぁ、普通に考えて歌が上手くて顔も絶世の美女などそうそう見つかるわけもない、だが、普通の美少女はいる、歌が上手い不細工もいる、なら役割分担させればその物珍しい存在を作れる、そう考えたわけだ。
そのおかげで外からは歌姫を一目見ようと旅人や旅商人がやってきて停滞していた国の商いはうまく回り始め、国民達も歌姫の歌を聞かせると労働意欲が飛躍的に向上、仕事の効率が上がった。
………勿論このことは誰にも知られてはいけないトップシークレット、どちらの歌姫も事情を知る一族から選出される。
…………だからといって今まで国のために働いてきたのに最後が処刑なんて鬼にも程がある、だからといって口答えしたところで上の判断が覆るわけがない……仕方ない……
「………分かったわ、なら最後に私の歌を聞いてくださらない?」
「良いだろう、声だけは綺麗だからなお前は……」
「……いきますわよ……■▲■@!#$$$%#ーーーーーー」
「ッッッッッーーーー」
たかだか女子供と侮った兵士に息を思いっきり吸うために歌を唄うと嘘をつく、不意に相手の耳元に顔を近づけて歌うために鍛えた喉で黒板を爪で引っ掻いたような甲高い声を絞り出す。
兵士は鼓膜を破られたと錯覚するほどのノイズを不意に至近距離から浴びせられ、思わず耳を押さえて地に伏せてしまう。
「ーーーー貴様、こんなことしてタダで済むとッッッーーーい、いない、いったいどこへ消えやがった」
ただの嫌がらせだと思った兵士は殺意が込め少女に囁くと、少女は忽然と姿を消していた……そう兵士が怯んだ隙に逃げたのだ。
つおい(๑╹ω╹๑ )




