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異能バトルを世界一楽しむ男の妄想  作者: オウル・ゴジラ
導入(プロローグ)
3/6

ありふれた日常

朝だ。


昨日天井から吊るした紐も、俺が蹴飛ばした椅子も、そのままに残されている。


神様との会話は、夢だったのだろうか。


夢じゃないといいな。



◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️



俺の見た目が変わっている可能性に気がついて、急いで廊下を走る。



ーーー緊張



スケルトンとかゾンビになってたら、見た目で他人に誤魔化しようがないぞ。



ドキドキしながら洗面所の鏡を覗き込む。

鏡を見ると、見た目は何ら変わってなかった。

ただ強ばった顔でこっちを見てる俺の顔があるだけだった。



「夢だった説浮上」




◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️



俺が不死者であろうとなかろうと、世界は周り、時間は進んでいく。


ぶっちゃけ登校時間まで、あと僅か数十分しかない。


キッチンに移動して自分の分の朝食を作っていると、慌てていたせいか人指し指の腹を包丁で切ってしまう。


ピッ



血がプッと線上に溢れた後、指先へ垂れていく。


ーーー痛い。


のたうち回るほどじゃないが、地味にジンジン痛い。視覚から痛い


うぅぁ、痛いー。萎えるー。

バンデージ、バンデージ。

薬箱を取りに、リビングに足を向けたその時、指の傷が変化する。


『シュッ』


え?治ったんだけど。ま?


指の腹を擦ってみるが、さっきまで存在を主張していた指の傷は、無くなっていた。

それどころか、流れていた血まで消えている。



もう一度、今度は少し深めに切ってみる


血がドクドク出る。


あぅあぅあーーー痛いーーーーー。


『シュルンッ』



治ったーーー!!!


嬉しいーー。


じゃあ次はーーー、、








『プルルルルルル、プルルルルルル』




◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️





いつもの電話だ。


俺は親に独り暮らしを認めてもらう代わりに、毎朝電話で問題ないか確認することになっている。


俺は、ゆっくりと音へ近づいていき、受話器を取る。




『ガチャ』




「もしもし」




「代わりはないか?」



硬い、年齢を重ねたことを感じさせる男の声だ。




「うん」




「ならいい」




『ガチャン、ツーー、ツーー』




これだけのために、わざわざ毎朝ご苦労なこった。





◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️




また、いつものように、自分の分だけの朝食を作り、食べて、片付ける。


服を着替えて、鞄を持つ。




「いってきます」




言う相手もいないのに、空っぽの家に挨拶をして、家に出る。





学校だ。


スマホをいじりながら移動していると、学校につく。


校門の前に立つたびに、


Qなんで義務教育でもない高校に通ってるんだろう

A就職のため


と自問自答してむなしくなる。




教室について、ドアを開けても、誰も反応しない。

これは、俺の見た目が理由である。


人と会話するのも目を合わせるのも苦手なため、小学生の時、髪を伸ばし始めた。


元々天パぎみな俺の髪は、顔を隠すと透けることもなく、完璧に隠れる。今や顎まで伸びた髪は、顔のパーツを少しも外に見せない。その上でマスクと眼鏡をつけているから、風が吹いても完璧に隠せる。





そんなこんなで誰とも関わらず、学校生活を終え、またスマホをいじりながら帰宅する。


帰ってもすることがまるでない。


学生の本分は勉強?

最低限出来る。


友達と遊びに?

んなもんいたら苦労しない。


そうなるとやることは限られてくる。

ネット、ゲーム、食事、睡眠、自慰。

毎日これしかしていない。


自分の、何か深いところが腐っていっているのを感じる。

今日も今日とて、時間を潰すことだけを考えて、一日が終わるのを待つ。


自分の分だけの夕食を作り、食べて、片付ける。


風呂に入り、布団にはいる。






寝る。




無味乾燥な俺の毎日は、退屈だけれど、そんな退屈も嫌いじゃなくて、これからもずっと変わらず続くことを願っている。

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