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聖犬アンの創世記  作者: 格有紀
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ワンワン創世記

「じゃあ、屋敷に戻りましょうか」


 アンに促されて屋敷に戻る。

 アンは2階に上がっていく。ガランとした大広間だ。


「ここは研究所みたいなものよ」


 え?何もないけど?


「だから言ってるでしょ。目に見えるものだけがある、というわけじゃないんだから」


 何でもありじゃん!都合がいいなぁ。


「それじゃぁ、ドッグデータにアクセスするわよ」


 ドッグデータ?


「太古からのイヌの、膨大な物語が記録されているの。もちろん、これからの私たちの物語も記録されていくわ」


 ほほう、そりゃすごい。ひょっとしたら、イヌの文明、って本当にあったんだな。


「だから原始イヌは太陽だった、と言ってるでしょ。一番古い記録は…

 あったあった。『ワンワン創世記』ね」


 ワンワン創世記?何だそりゃ。

 と思っていたら、目の前に巨大なスクリーンが現れた。

 様々な角度の犬の足跡のような文字?が一面に浮かび上がる。


「これは古代語ね。翻訳が必要だわ」


 アンが印を結んで「観自在言霊」と唱えると、スクリーンが話し出した。すげー。


『ワンコはワンの子なり』


 何じゃそれ、パクリング創世記かいな。


「キャイーン!」

 また足を踏まれた。


「神聖なる書なんだから、真面目に聞きなさい」


 はいはい。


『ワンコはワンワンを生み、ワンワンはワンワワンを生み、ワンワワンはウーワンワンを生めり。ウーワンワンはウンコをしてワンコロを生めり。ワンコロはコロコロとたくさんの仔犬を生み、コロっと死んだ。コロコロと生まれた仔犬達は、トシゴロになるとさらにたくさんの仔犬を生み、イヌの一族として栄えり』


 何だか、話になっているようななってないような。ま、本家『創世記』も似たようなもんだからいいか。また足を踏まれてはたまらんから、余計なことは考えないようにしよう。


『イヌの一族は楽園を求めてエドンに向かえり。旅の途中でイヌのひとりがキャインと鳴いてカインを生めり。カインはエドンに着くとエドンに住むヒトと仲良くなり、カインの末裔はカイイヌの一族となった』


『しかしカイイヌのひとりがカイヌシであるヒトの手を噛んだため、ヒトはカイイヌの一族をカムイヌと呪いをかけて名付け、エドンの東へ追放せり』


『時が経て、カムイヌの一族の中から、カムイが生まれた。カムイは菩提樹の下で生まれると、2本足で立って3歩進み「天上天下唯我独尊」と叫べり。カムイヌの一族はカムイを神と崇め、カムイは成人して神戌(カムイ)と名乗り、黄金の首環をまとい世界を支配した。おわり』


 おわり?


「これ以降の歴史は、都合が悪いと考える者たちによって抹消されたみたいね。でも、これでだいたいのイヌの歩みがわかったわ」


 どういうこと?


「つまり、いわゆる現世の飼い犬になる前の原始イヌは、一度ヒト、多分類人猿と出会い、反抗したため追放されたのね。でも追放されたイヌの中から神戌が生まれて世界を支配した。しかし、それをヒトが滅ぼしてヒトの文明を築いて世界を支配したんだわ。その鍵となるのが『黄金の首環』ね。多分、ヒトが『黄金の首輪』を奪って、『黄金の指輪』に作り変えて世界を支配する力を手に入れたのね。イヌの世を復興するためには過去に戻って『黄金の首環』を探す必要があるわ」


 どうやって探すの?


「私たち2人だけでは無理ね。仲間を探さなきゃ」


 仲間?これから「使命」を果たす旅に出るのか。

文中の歴史的あるいは科学的記述は全てデタラメです。

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