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聖犬アンの創世記  作者: 格有紀
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原始イヌは太陽であった

「原始イヌは太陽であったのよっ!」


 呆然とアンを見上げてるオレに、アンは誇り高き、ともいうべき風情で叫んだ。


 意味わからん。もしかしてアンは「飼い犬の足を踏みニスト」宣言でもやる気なのだろうか。


『キャイーン』


「真面目に聞きなさい。イヌとヒトの関係に関わる問題だから」


 じゃあ、そういう話し方をしなさいよ。そもそもイヌとヒトとはどんな関係なのかとか。


「そもそも、イヌはヒトの歴史と共にあったのよ。イヌの起源はオオカミだと信じられているけど、それはヒトの起源がサルであるというのと同じ、進化論といういい加減な『科学』の世界に過ぎないのよ。


 サルとヒトが別物のように、イヌとオオカミも別物なのよ。ま、イヌとオオカミは交配できるけど、それは物好きなヒトが勝手にやってるだけ。


 そして、イヌはサル以上にヒトの『世界』と共に生きてきた。その世界はヒトの世界の誕生とほぼ同じなの。これは『科学的』にも異論がないとされているわ。」


 確かにヒトの墓にイヌの骨が一緒に埋葬されていたという遺跡は1万5千年ぐらい前のものらしい。一方、ヒトの墓にサルの骨が一緒に埋葬されていたという話は聞いたことがない。


「ヒトには『知恵』があったけど、身体的能力は他の動物に比べてはるかに劣っていた。だから狩猟犬や牧羊犬、番犬など、イヌと共にヒトの『世界』を築いてきたのよ。


 それはイヌがヒトの『世界』に入ることができる、唯一の動物だったから。だから警察犬や救助犬、盲導犬、介助犬、愛玩犬などに改良されて、ヒトの世界に完全に組み込まれた」


 そういえば、生前の世界の最後の方では野良犬なんかいなかったもんな。


「そこよ。ワタシ達の前世の日本では、子どもの数よりも飼い犬の数の方が多かったぐらい。それなのに、『動物保護センター』とかいうのを作って、捨て犬を大量に送り込んで殺処分しだしたの。これはイヌへの大いなる冒涜よ」


 なるほど。原始イヌはヒトの世界を支えてきたのに、ヒトはそれを忘れようとしている、イヌの犬利(けんり)を認めよ、ということなのか。


「私はただイヌの犬利(けんり)を主張しているだけではないわよ。もっと大切なのは、イヌが支えてきたヒトの世界が暴走しつつあるということね。


 西洋近代科学がヒトの『世界』を変えはじめ、支配しはじめてから、その『世界』は指数関数的に変化してきたわ。


 例えば、それまでヒトの世界でずっと不可欠で、ヒトの文明を支えてきたはずの『神』や『幽霊』や『怨霊』まで、非科学的だとか言って否定するとか。東洋文明が『世界』を支配していたら、あり得なかったでしょうね。


 その挙句に『原子力』という、神すら操れない力を得てしまった。そのうえ、『人工知能』という、神すら生み出せない生命体まで創ろうとしている。


 おそらく、ワタシ達が転生した時からあの『世界』の40年後ぐらいには、あの『世界』は滅びるわ。


 そうならないように原始太陽であったイヌが支配する世界を築く。それがワタシ達の使命で、そのためにこの『世界』に転生したの」


ワタシ達、ってオレも?


「もちろん。アナタ、イヌだから異論はないでしょ。ワタシも元イヌだから」


 納得できる、つーか、オレの前世の世界観でもあったのだから納得しますよ。でも『あの世界』とか『この世界』とか、『世界』は一体どうなってるの?


「核心をつく疑問ね。そこよ。これから話すけど、アナタには、いや、アナタだからこそ、わかると思うわ」


つーことは、もしかしてアレかな?

文中の歴史的あるいは科学的記述は全てデタラメです。が、真理でもあります(笑)。

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