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聖犬アンの創世記  作者: 格有紀
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めでたく?転生しました

『キャイーン!』


 オレは自分の絶叫で気を取り戻した。


 左手に激痛が走っている。手には愛犬アンのような毛がふさふさと生えている。ともかく無事に犬に転生したようだ。


 そして左手の上には真っ赤なヒールが。何だ?


「どう?気がついたようね」


 声の主を見上げると、腰まである真っ黒な髪、真紅のボディコンワンピース姿のアラサーなお姉さんさんが仁王立ち。え?ここはキャバクラ?それともSMクラブ?


「どうしたの?アナタの大好きなアンよ。見違えたでしょう?」


 マジかよ~。ロリ美少女にモフモフされる犬生への転生ではなかったのか。しかも、こいつ手、いや足を踏みやがったな。オレはドSアラサー女にいたぶられる趣味はない…いや、なくもないが。


「転生の途中で、どんな姿がいいのか、あなたの頭をスキャンさせてもらったの。ピンポン!でしょ?」


 確かに悪くはない。正直ロリ趣味よりもアラサー好きの方がまともだ。でも、犬の足を踏むなんて、ひどいじゃないか。一方、飼い犬に手を噛まれる、というのはとんでもないこととはいえ、オレも前世の人間社会ではやったりやられたりしたものだ。もちろんアンにそんなことをされたことはないけど。


 でもさー、飼い犬の足を踏む、なんて、ことわざにすらならない不注意なことだし、アンの足を踏んで悲鳴をあげられたときは、真剣に何度も謝ったのだ。それなのに、何故アンは飼い犬の手を踏むドSアラサー女に転生したのだ?


「あのねぇ、ワタシは仔犬の時に砂浜で子供達に思いっきりいじめられたの。浦島太郎がやってき助けてくれたけど、ワタシがあまり海を怖がるものだから、龍宮城じゃなく近くの動物病院に連れて行ってくれたの。そこでアナタに引き取られたのだけど。


 でも子供のイジメがイヌウマになって、自閉症の超ビビリ犬になったの。今回の転生はその反動でしょうね」


 だからと言って、オレの足を踏むのはやめてほしい。人間に転生して犬を飼うのなら「犬の十戒」を守れよ。


「あら、犬の十戒には『決して私の足を踏まないでください』という言葉はないわよ」


 いやいや、そーゆーことじゃなくて…でも、アンはオレが考えていることがわかるのか。前世のアンが物分かりのいい犬だったからな。でも、足を踏むのはやめてほしい。まあ、ドSなファッションの割には、前世のアンのように眼は丸く大きくて可愛いし、胸も…


「どこ見てんのよ!このエロ犬!」


「キャイーン!」


 また足を踏まれた。気をつけよう。それにしてもここはどこだろう?見渡せば城の大広間のような気もするし、洋館の大きなリビングのような気もするし。それともデザイナーズマンションのリビングかな?


「説明が必要なようね。長くなるわ。とりあえず、外に出ましょうか」


 アンが大きな扉を開き、オレも一緒に外へと向かった。

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