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浮気した姉の離婚訴訟に巻き込まれた俺

作者:Ash
現実ではありえない結果ですが、あくまでフィクションですので。
俺は何故か姉の離婚訴訟で仕事を休む羽目になった。

「「ユウちゃん・・・」」

可愛い甥と姪が不安そうに俺を見る。
裁判所の調査員たちは俺が何かしないか見ている。主に姉に有利になることを子どもたちに言わせないかどうか、ということだろう。

しょう芽衣めい。大丈夫だから、本当のことをこの人たちに言うんだぞ。我儘だってなんだっていいから言いたいことを言うんだ」

「ほんとうに?」

「いいの?」

まだ小学校にも上がっていない幼い二人の驚く顔が可愛い。犯罪的に可愛すぎる。食べてしまいたい。
思わずニヤけてしまう俺を冷たい目で見る裁判所の調査員たち。
このプリティーな天使たちを前に相好が崩れないほうがおかしいのに、そんな目で見るな。

各務かがみさん。申し訳ありませんが子どもたちからお話を聞く間、外で待っていてもらえますか?」

丁寧に言われたが、姉の離婚訴訟をしている裁判所まで尚と芽衣の付き添いとして連れて来た俺はこうして部屋から追い出される。
部屋の外の廊下には不肖我が姉・はなとその夫・和泉いずみさんがいた。二人とも睨み合っていて険悪な空気が広がっている。いくら美男美女のカップルとはいえ、この空気は耐え難い。
回れ右をして可愛い尚と芽衣のいる部屋に戻りたい。
そのまま二人の視線がこちらに向かなければいいと、俺は気配を隠すように身体を小さくする。

元はといえば、この姉が元凶なのだ。

昔から美人だった姉は両親にチヤホヤされて育ったせいか、浮気などをあまり気にしない我儘女に育ってしまった。自分にふさわしいと思える待遇をしてくれる相手がいればそちらに乗り換えるといった風で、二股など当たり前の性格だった。なまじモテるような外見だったのがいけないのかもしれない。
これは両親が姉を連れて海外や国内旅行に出掛けても、一人留守番をさせられていた俺のひがみじゃない。
和泉さんと付き合っている時もそうだった。他の彼氏同様、デートのダブルブッキングをした時には、より楽しませてくれる相手を優先して、もう片方にはアリバイ工作をしておくのだ(協力させられるのは俺だ)。
そして、付き合っている中で一番楽しませてくれる(資産的・・・我慢・・できる(・・・)外見・・)だったという理由で和泉さんと結婚した。
賢明な方はここまでの話でおわかりのように姉は結婚してからも浮気性は変わらず、その結果がこの離婚訴訟なのだ。

姉が子どものことを考えてくれているならともかく、浮気はするわ、子どもの面倒は見ないわで、実家暮らしの俺が仕事の帰りや休日に姉の家に行って尚と芽衣の面倒を見ることも多かった。両親は孫の話を聞きたがって、俺を喜んで行かせるしな。
で、残念ながら現状では男遊びで子どもの面倒を見ない姉に親権が渡りそうで、それを知った和泉さんが怒り狂って離婚調停は離婚訴訟へと移行してしまったのだ。
もうやだ。
なんで俺が巻き込まれないといけないのさ。
勝手にやってろよと言いたい。
だいたい、姉に子育てなんか無理だから親権与えなくてもいいじゃないかと思うんだが、父親よりも母親に引き取られたほうが子どもの幸福に繋がるという考えが強いらしく(姉の場合は和泉さんが引き取ったほうが断然良い。姉の付き合っている相手に尚と芽衣が虐待されたらと思うとゾッとする。裁判所はそのあたりを一番に考慮すべきだ)、裁判所に来る羽目になったというわけだ。

姉が別居して尚と芽衣を連れて実家に戻ってきて以来だから、今日は久しぶりに和泉さんの顔を見たことになる。
本当なら俺は和泉さんと顔を合わせたくない。
姉のことで色々というのもあるが、個人的に会いたくない。
和泉さんと顔を合わせずにすむなら、裁判所にだって喜んで来たさ。
どうして、顔を合わせたくない人物に来たくもない場所に嫌々来て顔を合わせなければならないのかわからない。
この人の本性を知ってしまった今では、どうしてこの人と結婚してしまったのか姉を問い詰めたいくらいだ。
とまあ、そんなことを考えながら、気付かれませんようにと祈っていたのも無駄なことだった。

「「ゆうちゃん」」

仲が悪いわりにはこの離婚予定の夫婦の声が重なる。
姉も両親も昔から俺のことをちゃん付けして呼ぶ。以前、和泉さんは『優』と呼び捨てにしてくれていたが今では違う。他の家族と同じように俺のことをちゃん付けする。

「聞いてよ! この人が親権は渡せないっていうの! 養育費も財産の分与もしたくないって! それどころか慰謝料をよこせって言うのよ!」

「わざわざ来てくれて悪いね、・・ちゃん(・・・)

ヒステリックに叫ぶ我が姉の声と温かみがあるはずなのにネットリと身体に巻き付いてくるような冷気を伴った和泉さんの声。
俺は内心ガタブルと震えながら精一杯平静を装って、代わりに嫌悪感を二人に目一杯叩きつけてやる。

「尚と芽衣のためだから。あんたたちのためだったら絶対に来ない!」

大人げないと思うかもしれないがこの二人はこれくらいされても当然だ。

「なんでそんなこと言うのよ! 華の弟なんだから優ちゃんは華の味方でしょ!」

アラサー(30オーバーだ)なのに自分のことを名前で呼ぶイタイ姉だが、これだけ美しいなら大概の男は許す。そして可愛いと思うだろう。実年齢より明らかに10歳は若く見えるから。

「尚と芽衣の幸せのことを考えたら味方できないよ、姉さん」

猛烈に噛み付いてくるこの顔を見ていると惚れる男もいないだろうと思う。ここにいるのは長年そんな姉と接してきた俺と離婚を希望して訴訟まで起こす夫だから、表面上を取り繕う気はまったくないらしい。
この夫婦の弁護士たちはどこに行ったんだ?
姉の次の餌食として認定されている奴らは?
戻ってこいよ。
戻ってきて姉をなんとかしてくれ。
戻ってくるだけでいい、姉は猫をかぶるから。

「なんであの子たちの味方なんかするのよ! 面倒見てあげたのは華でしょ!」

姉の面倒見たことはあっても、見られた覚えはない。

「何、言ってんだよ。尚と芽衣はまだ子どもなんだぞ。大人の庇護が必要なんだ。姉さんとは違うんだよ」

「華だって庇護が必要よ」

確実に今の姉なら庇護が必要だと思う者はいない。

「姉さんのどこが庇護が必要なのさ!」

「華はか弱い女の子なのよ、優ちゃん。優ちゃんみたいな男の子じゃないから庇護が必要なの!」

「なら、庇護が必要なか弱い女の子の芽衣の味方をするよ」

「なんであの子なのよ! 華はあなたの姉なのよ!」

普通は30オーバーより幼児のほうが庇護が必要だとわかるはずだが、この姉にかかってはそうではない。

「芽衣は俺の姪だ」

「優ちゃん、冗談言ってないで華の味方しなさいよ!」

幼児の娘よりも自分を優先しろという母親がどこにいる?
ここにいる。目の前に。
それも実の姉だ。

「流石、・・ちゃん(・・・)だね」

和泉さんはニコニコとしている。姉も知らない俺の秘密を握っている余裕からだろう。
秘密をばらされたくない俺が最終的に言いなりになると思っているに違いない。誰が言いなりになるか!

「俺はあんたの味方もしないからな、和泉さん。俺が味方をするのは尚と芽衣だけだ。あんたたちの味方なんか誰がするか!」





裁判所は何故か俺に尚と芽衣の親権を与えた。

『ママもパパもいらないからユウちゃんと三人で暮らしたい』と尚と芽衣が言ったらしい。

――ママとパパ、どちらかは嫌かな?

『ママはぜったいイヤ! へんなおとこのひとといっしょだもん!』
『パパはおしごとでいえにいてくれないし、やっぱりユウちゃんがいいな。ユウちゃん、ごはんおいしいし!』


ざまあみろ。
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