公園の待ち人3
霊能部副部長のお見舞い途中の事。真理とちょっとコンビニまで行って戻ってきてる最中、今まで和気藹藹と他愛無い話で盛り上がっていながら、突然その言葉。
「アンタってさ、ほんっと分かりやすい性格してるよね。顔に書いてあるよ?」
「ぉ、おら、なんにも隠し事なんてしてねぇだよ?」
「へー? 隠し事してるんだ?」
な、なんで気付いたの? 顔に書いてある……? まさか、だって、さっきお風呂借りた時には落書きなんてなかったはず。
「……わざとやってる? ツッコんでほしいの?」
手鏡を顔から離して、もう一度キリッと真顔で真理を見つめた。
「いや、もう遅いから」
観念して、私は寄越された手紙を真理に差し出した。『だいたいアンタは、ウソが下手すぎるのよ。何年一緒にいると思ってんの』などと言いながら、真理は内容をじっくり見てる。私だって本当にウソは嫌いだけど、隠し通したい事だったもん。だって死ぬかもしれないし。
「……この件、西嶋総司令官に言ったの?」
「んーん。だって面倒な事になりそうで……」
「まぁ、ね。だけど念のため報告しなきゃ。西嶋総司令官の事だから、もしかしたら特一級を集結させてくれるかもよ?」
かなみんと、みどりんを? それは心強い。だけど、やっぱり一番の心の支えは――
「真理、おらと一緒に――」
「ごめん。足手纏いにしかならないから、私は却下。対人戦ならともかく、大場のおじいさんが浄化できない霊なんでしょ? 命がいくつあっても足りないし」
「そんなぁ……」
「大丈夫! 根拠はないけど、麻衣なら死にはしないって!」
もぉー。本当に他人事みたいに。こうなったら奥の手を使うしかない。
「い、いたたたた! おら、急に腹痛が痛くなってきたべさ! きゅ、救急車……!」
「そこ頭だから」
押さえる所、間違ってしまった。『っていうか日本語変だし』という真理の言葉を聞き流しながら、私はどうすべきか迷う。西嶋さんかぁ。桧原村の日霊保本部まで行くの、ダルいなぁ。やっぱりここは行ったフリして野宿なりなんなりして日をまたぐしかなさそうだけど……ん?
「ほら、麻衣」
スマホを取り出して、にっこりと天使か悪魔の顔をしてる。電話しろって言いたいの?
「もう本部につながってるから」
「えっ……」
早くない? 真理、もしかして私になにか恨みでもあるの? そんなに私に死んでほしいのかな。