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公園の待ち人29




 * * * * * *


 あれから、どれだけの時が経ったんだろう。無機質な機械音が延々と流れ続けている。流し尽くしたと思っていた涙が溢れ続け、もう二度と真咲に会えない気がしていた、その時。ふいに私の背後が優しく、強く包み込まれた。



「え……?」


「六十年も待たせて、本当にごめん」



 その姿は、当時のままだった。


 軽くはにかむ顔。懐かしい姿。それは、私が心を奪われた、あの真咲だった。


 * * * * * *




 三ヶ月後。


 公園には園児たちが母の目の届く範囲ではしゃいでいる。その中央には、大きな桜の木が花弁を大きく舞き散らし、踊っている姿があった。


 おじいちゃんの遺灰はそこに捲かれ、加奈子さんとの二人の時間を取り戻すかのように、ゆっくりと進んでいる。



「ふーん。あの『神に出会えば神を斬る』って言われた大庭のおじいちゃんが唯一浄化できなかった霊が、まさか愛した人の霊だったなんてね……」



 岩木高校の制服姿でブランコのガードに腰かけ、無関心そうにカレーパンをもむもむと食べている真理。その隣で『ケータイ番号聞きそびれた』と泣きそうな顔して深く落ち込んでいるみどりん。かなみんを見てみると、真剣そのものの瞳で天を仰いでいる。なんというプロ意識なんだろう。あれだけの力量差を見せ付けられて、まだ戦おうっていうの?



「オムツ雲発見! 真理にオムツ履かせるべし!」


「は? ふざけんなし」



 雲を見てたわけね。



「死神が霊力を解放した時、呆気なく気絶ちてまちたよねー、真理ちゃん」



 そのお陰で、私がコックピットから降りれたという事は内緒にしたい。



「るせーんだよ、どけ。麻衣、帰ろ?」


「あれー? 逃げるんでちゅか? スピードが速い奴は、やられるのも速いんでちゅねー。痛っ! やったわね……!」


「麻衣の同僚だからって大目に見てりゃ、ふひはっへほほひひははっへ! ひっはっへんはへーほ!」



 そして髪を引っ張りーの、頬を引っ張りーの、そこらの園児と変わらないレベルの喧嘩をし始めた。これは止めるべきか。否。もしかしたら真理も化ける可能性が大いにある。ここはひとつ、見守ってあげよう。



「おじいちゃん、お幸せにね」


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