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公園の待ち人20


「とある人に頼まれたんだべ。『大切な人だから、最期は優しく看取ってやってくれないか』って」


「……その人って――」


「大場真咲。おめがずっと待ってた人だべさ。全世界の霊保で一、二を争う日霊保の守護神」



 そっか……


 だから真咲だけは、私の事見えてたんだ……



「ここだけの話、おじいちゃんは死んだおめに会う為だけに日霊保の扉を叩いたようなもんらしいべよ?」


「なんで、ここだけの話?」


「堅ーく口止めされてきたべさ。『僕が、いつまでも加奈子を追いかけ回してるみたいで格好悪い』だってさ」



 声は女子中学生の女子高生でも、似ている口調に思わず他の二人まで笑っている。同時に、私にも温かい感情が沸き立ってくる。さっきまで真咲に操られて戦ってたのがウソみたい。


 なにを今さら。六十年間ずっと追いかけ回してたじゃん。


 もう、いいよ。一緒に逝こ?


 これからは、ずっと一緒だから。だから、これ以上私のために無理しないで。


 突如、前触れなく桜の花びらが全て舞った。上昇気流にでも乗ったかのように、だけど優しく舞い降りてくる。


 色が桃色から白へと変わり、形も小さく、さんさんと。


 これは……雪?



「ぁ……桜の花びらが……」


「どうやら、呪縛は解かれたようだべな」



 少女は私の肩から両手を放し、小さな手でそっと下から頭をなでた。



「どういう事なの?」


「今まで、おめが見ていた景色は自分が作り出した幻想だったんだべ。あの時約束していた季節のまま、おめは時が止まっていたんだべよ」



 散った桜の木の下には、冬にしか咲かない花が違和感なく添えられている。



「もう、行けんべな? おじいちゃん、待ってるよ?」


「うん。……ありがと」


「おめの外観からそんな言葉が出るなんて思ってなかったべさ」


「あなたもね。都会に住んでそうな白ギャルなのに、えせ津軽弁なんて恐れ入ったわ」



 軽く笑いながら、少女は飛び立つ私にぱたぱたと手を振った。


 上空から見渡す景色は、中毒性のありそうなほど絶景だった。小学生の頃、真咲と一緒に乗った観覧車を思い出す。あの頃も、こんなに雪が積もってたね。


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