公園の待ち人16
「まっ、麻衣さん!」
声を大きく張り上げて私を制止しようとしてるみたいだけど、
「あ……れ? 見えない攻撃、してこない……?」
加奈子さんの身体の表面を手で撫でて、スカスカと腕を空振らせてみせる。
「そこに、五人目? どういう事?」
かなみんは小さく頭を傾けて力を抜いた様子だった。
* * * * * *
「おめ(あなた)に、これを預かってきたべさ」
ダッフルコートの内ポケから、三人目の少女は一通の手紙を取り出す。どう見ても郵便屋さんには見えない。そんじょそこらの女子校生だろう。だけどなにかが違う。この人たちと似たような波動というべきか。まぁ、それはいいとして。
「……?」
誰が、私に手紙を? 他の二人とは違って敵意を感じない。だから、素直に受け取れる。
なにかを入れているかのような、ちょっとした重み。色褪せた横長型の封筒には、宛名が『水無月加奈子様』と達筆で書かれてあり、ひっくり返して裏を見てみると『大庭真咲』と書かれてある。
「真咲っ!」
一瞬喜んでしまったけど、手紙を預かってきたって、どういう事? ぺり、と接着部をはがして大切に取り出す。封筒とは裏腹にまっさらな白い便せん。それと同時に、私の手の平になにかが転がってきた。
――これは……指輪?
銀色のリングには、ムーンストーンが加工され嵌めてある。『永遠に続く愛』という意味を持つ、白く淡い光を生み出す宝石。
「真咲……」
これは、もう確定って事でいいんだよね? 他に好きな人とか、付き合ってる人とか……いないんだよね?
十年間、ずっと待ってた。
信じて、ずっとここで待ってた。なにもかもかなぐり捨てて、ただひたすら、あなたの事を待ってた。
「へへへ、うひひ」
一人で勝手に笑い出し、三人が白い目で見つめている事に気がついて、慌てて真顔になろうと努力する。




