公園の待ち人14
積もっている雪たちが、私の足に合わせて歌ってる。歩かないと気付かない事。寒い時期には、こうやって厚着をする。普通の人からしてみると、これが当たり前なんだよね。だけど私たちは、なんもかんも霊力で解決してる。……神様に歯向かうような、こんな不器用な力で。
遥か昔、この世界にアブディエルという織天使が天界より落ちてきた。そして、未だに人間界に縛られている。天界に戻してもらう事と引き換えに、アブディエルは人間に力を貸した。そのはずなのに人間は力を使い放題使って、約束を果たしていない。いくら特一級だけはアブディエルの力の一部を手にするといっても、私は力なんて求めない。ただ私は、戦争もなく、醜い争いもなく、真理やかなみんと笑い合って寿命を迎えられれば、それでいい。
Blue eyeのせいで、どれだけの人が死んでいった? 私は……どれだけの幸せを奪っていった? エースじゃなくなる事によってBlue eyeから降りられるなら、本当はそれだけでも構わない。
特一級のエースに選ばれる事。それは名誉な事だと知っている。知らなかったのは、その重み。
今まで数十年にも及ぶ世代の特一級を写真で見た事がある。そして、最期は必ずと言っていいほど戦場で散っていく。私がしっかりしないと、真理もかなみんもそうなってしまう。地上の総司令は西嶋さん、そして戦場の総司令は私なんだ。一瞬の判断ミスが、部下数百人の命を奪ってしまう。
この間から憂鬱な気分が続いてる。大場のおじいちゃんからもエースの太鼓判を貰ってしまったし、これからどうなるんだろう。高校を卒業したら、死ぬか戦争が終わるまで私は戦場の最前線なのかな。
あぁん、もう、やめやめ。泣いたところで、天使と悪魔、人間の三つ巴戦が終わるわけじゃない。考えなきゃ。道は、どこかに必ずあるはず。
そろそろ目的地かぁ。大場のおじいちゃんから預かってきた手紙。これをそっと添えて、振り返らずに立ち去ろう。
公園の入り口に差し掛かったところで、とてつもない衝撃波が私の鼻先を掠めていった。小さな涙が飛び散ってコンパクトな悲鳴が出てしまう。
「なっ……なにがあったんだべ……?」
こっそりこそこそと、私は壁から片目だけで覗いてみることにした。一瞬だけチラッと覗き見。そして少しずつ。本当に少しずつ頭をずらしていく。この滝の様な汗は、ビビってるんじゃない。心の汗だよ。
誰かが公園内で喧嘩してるみたいだけど――って、違う。あれは喧嘩じゃない。魂のやり取り。しかもEsと。




