さよならの君へ
「さよなら」 とても悲しい言葉だね。
もう会えないみたいで、別れを告げる言葉で。 人に寂しさと悲しさを与える。
だから僕は「さよなら」とは言わない。「またね」と言って、再会を願うんだ。
いつかまたどこかで会えるように。 楽しかった日々を思い出せるように。
でも君は「さよなら」と告げたね。 その表情には、悲しみがあったね。
やっぱり嫌いだよ、その言葉は。 そんな感情を抱かせる言葉を僕は否定してしまう。
でもね、去っていく君の背中を見ながら思うんだ。
「さよなら」は、やっぱり必要なんだって。
始まればいつかは終わる。 その終わりをどれだけ先延ばしにしても、終わってしまうんだね、悲しいけれど。
だからこそさよならなんだ。 悲しみを長引かせないように。 お互いが、新たな始まりを迎えられるように。
始まりがあれば終わりがあるのなら、終わらなければ始まらないんだ。
だから、今は悲しいけれど。 僕も「さよなら」と告げるよ。
恋とか、愛とか。 そんな感情じゃなくても。ただ、君が大切だから。
堪えた涙を、言葉に変えて。
君に、さよなら。
人事異動の季節ですね……