第四話 零番隊
「ほら行きますよ。」
三郎だ。もう八時になりかけている。弘以も悠太も緊張している面持ちだ。
数分歩いた後に受付が見えた。そこには、厳つい人が座っていた。
「零番隊第三席真琴さんですよ。」
「零番隊?」
俺らは零番隊の存在を知らなかった。故にその言葉を聞いて驚いた。
「零番隊とはなんですか?」
「お前らに教えるのはまだ早いんですよ。君たちが入隊したら教えましょう。」
三郎がそう言うと、悠太も弘以も納得した。無論俺もだ。
受付が終わりエントリーは終了した。今日の十一時に入隊試験が始まるらしい。ドキドキする。
「なんで俺らこんなとこいるんだろうね。」
悠太がそう言った。俺は答えられなかった。
「ねー弾九聞いてる?」
悠太の声に俺は
「あ、うん」
と曖昧な返事をした。正直俺もそんなこと忘れていた。なんだろう連れてこられたのにもうこの世界に慣れているこの感じ。
「ごめん。俺も分かんないや」
これが正直な気持ちだった。
午前十一時。時が来た。俺も弘以も悠太も緊張している。それは見れば分かる。
「こっちですよ。」
三郎が俺らを戦闘場に呼んだ。そこはテニスコート程度の大きさだった。
「オーバークローというのは知ってますか?」
三郎が問うた。
「いいえ。わかりません」
悠太が答えた。
「オーバークローとはこの世界で力を制限して殺さぬようにすることです。この世界にも死は存在します。しかし、それはオーバークローシステムを作動した時には起こりません。一定のHPまで減らされると特定の位置に瞬間移動します。」
イメージがわかない。それもそうか。そんなのこっちの世界にはないのだから。
「パリン」
大きな音に俺らはそっちを向いた。
「今のがオーバークローです。HPが一定の数まで減らされるとガラスのように割れてほかの場所に強制的に移動させるというもです。」
やっぱり俺はこの世界が好きかもしれない。だからこそこの入隊試験に合格して鏡十隊に入りたい。そう強く思った。