第二話 学習
目の前に見える世界は俺らが過ごす現実とは違う理想的な世界だ。剣を振り戦う姿、空を自由に飛びまわる姿など例を挙げれば挙げきれない程だ。
「この世界は一体なんなんだよ!」
弘以が声を荒らげた。
確かにいきなりこんな場所
に連れてかれても説得力がない。何の為に俺らを連れてきて、何をしたいのかそれが一番知りたいことだ。
「何の為に連れてきて何をしたいんだ答えろ」
弘以は健吾の胸を掴んだ。
もう何分くらい経ったんだろう。弘以が健吾の胸倉を掴んでから何分も経っているのに健吾は質問に応答せず、終始無言を貫き通している。
「ちぇっ」
弘以が舌打ちした。そして、健吾が口を開いた。
「お前らには素質がある。それを見抜いた俺がこの世界に連れてきた。」
となりで聞いていた弘以は今にも殴りかかりそうだ。
「なぜ僕たちなんですか?しかも素質ってなんのですか?」
俺の隣の悠太は、おどおどとした口調で言った。健吾は口を開かない。沈黙の時間が続く。
「それは分かる時が来る。」
健吾は投げ棄てる様に言い、一人の男を連れてきた。
「こいつは三郎お前らの教育係だ」
健吾が言うと三郎という男が
「よろしく」
と言った。俺らにとって教育係と言われてもこの世界を理解できていない時点で意味のわからない事をされている。
「せめて鏡の世界とは何なのか教えてください。」
俺がこう言うと健吾は
「後のことは三郎に聞け。」
と一言残しこの場を後にした。
それよりもこの格好を見ていると暑苦しく感じる。現実の季節は夏だからこんな袴みたいなものを着ているのを見るだけで暑い、暑い。
「えっと」
三郎が話し始めた所で、俺は三郎の方を向いた。
「まず、鏡の世界とは何なのかと言う事です。鏡の世界は現実とは違い理想の世界であると言われています。見ていただくと分かるように空を飛んだりすることができます。現実世界からは、見えない鏡、mirror invisibleと呼ばれています。その理由は現実からはこの世界は見えないからです。この世界から現実を見る事が出来ますが現実からは見る事ができないのです。」
彼の説明がよく分からなかった。なんでそんな世界が存在するのか考えれば考えるほど分からなくなっていくそんな気がした。
「次は貴方達がなぜこの世界に連れてこられたかです。」
その言葉を聞いたとき弘以と悠太の顔が明るくなった。
「貴方方は先ほど健吾隊長の述べたとおり素質があるのです。その素質は此処で過ごしていくうちにわかってきます。その素質はこれを使ってくうちにわかっていきます。これを使って見てください。はい」
三郎が俺らに剣を差し出した。
「なぜ剣を持つんですか?」
悠太の質問に三郎は、答えた
「この世界の見てのとおりです。」
その言葉だけ残し俺らは剣を握った。