第11話 みんなで解く世界
街の中心。巨大パズルが崩壊し始めた瞬間。
総帥は膝をつき、呆然と空を見上げていた。
しかし、崩壊はまだ途中だった。
巨大構造物の最深部に、最後のピンが残っている。
それは、ただの金属ではなく、淡い金色の光を放つ特別なピン。
【最終課題追加】
【最後のピンを抜くには、“全ての想い”が必要】
シンの頭に、ミコトの声が響く。
『シン、一人じゃ抜けないよ』
『みんなで、引き抜いて』
総帥が、狂ったように笑い出した。
「無駄だ! このピンは、私とミコトだけが知る鍵だ!」
「お前らに、抜けるものか!!」
しかし、街の人々が動き始めた。
最初は、近くにいた数人。
子供が手を伸ばす。
母親が、その手を重ねる。
サラリーマンが、隣の見知らぬ人に声をかける。
「一緒に、やろう」
想いが、連鎖する。
タクミが叫ぶ。
「みんな! 大切な人を思い浮かべて!!」
アヤが、傷を押さえながら手を上げる。
「私も……あの日の背中を、忘れない」
人々が、次々と手を翳す。
数千人、数万人の想いが、巨大ピンに集中していく。
光が、強くなる。
総帥が絶叫する。
「やめろ……ミコトは、私のものだ!!」
しかし、ピンは揺れ始めた。
シンが、一歩踏み出す。
「違う」
「姉さんは、みんなのものだ」
「世界を、守りたかったんだ」
シンが手を伸ばす。
タクミが、その手に重ねる。
アヤが、さらに重ねる。
そして、街中の人々が、意識で手を重ねる。
ピンが、ゆっくりと動き始めた。
総帥が、最後に叫ぶ。
「ミコト……!!」
ガキン。
最後のピンが、抜けた。
巨大構造物が、完全に崩壊する。
光が、爆発的に広がった。
【完全正解確認】
【封印、全解除】
シンの身体が、金色の光に包まれる。
力が、溢れ出す。
しかし、暴走はしない。
人々の想いが、シンを繋ぎ止めている。
総帥は、ただ呆然と座り込んだ。
「……ミコトが、選んだのは……お前か」
シンは、総帥を見下ろした。
「……仇討ち、終わったな」
総帥は、静かに目を閉じた。
抵抗を、諦めた。
街の人々が、拍手を始める。
それが、歓声に変わる。
タクミが、涙を拭いながら笑う。
「先輩……やったよ!」
アヤが、シンの袖を掴む。
「……ありがとう」
シンは、二人の肩を抱いた。
空に、最後の光。
ミコトの姿が、現れる。
全員が見える、幻のように。
ミコトは、優しく微笑んだ。
『みんな、ありがとう』
『シン、よく頑張ったね』
光の粒子が、舞い散る。
ミコトの姿が、ゆっくりと消えていく。
シンが、呟く。
「……姉さん」
涙が、一粒。
でも、笑顔だった。
街が、元に戻る。
人々が、日常に戻っていく。
しかし、誰も、あの夜のことを忘れない。
英雄の夜として。
──第11話 終──




