友情を越えてはいけない関係!
創作を応援してくれる少女、
創作は格好悪いと周りから言われていた少年。
この関係は『友情』だけで済む?
もちろん、相合傘ではない。
相合傘ではないんだけど、なんだろう。なんでなんだろう。
『あなた、小説家になりたいの?』
僕のノートを見て、この人は確かにそう言ったのに。
笑ってはいなかった、いつものように、真面目な表情で。いつものように、て言っても、入学したばかりだから、この人のことは全くわからないんだけど。高校から同じだし。
チラリ、と僕は見る。
隣で傘を差し、歩く少女。やっぱり、真面目な表情。融通のきかなさそうな。
「あの」
「はい?」
「僕たちは今、どこに向かっているの?」
「図書館です」
図書館らしい。
もしかして、この人は。いや、きっと、皆と同じ、期待はしない方がいい。もしかしたら、偉大な作品を見せて「だから諦めろ」と言うつもりなのかもしれない。真面目だからそうだ、絶対にそうなんだ。
「さて、本を借りましょう」
図書館の前で、唐突に言ってきた。
「カードは持っていますか? 持っていないなら今回は私のを使いますが。作らないといけないかもしれませんね」
「い、いや、持ってるよ。大丈夫」
なんだけど、なんだけど。
「古典作品は、読んだことありますか?」
「少しだけ」
「心理学や宗教は?」
「全くない」
「わかりました。じゃあ、あなたは読みたい本を3冊選んできてください」
「う、うん」
「今回はこの10冊を借りましょう」
やっぱりのやっぱり、真面目に少女は言う。
…。
「どうしました?」
「笑わないんですか? バカにしないんですか? 小説家を目指している僕を」
僕は、小さい頃から、小説家になりたいと思っている。隠れて、ノートに書いたりして、頑張ってきた。
でも、周りは理解してくれない。全く理解してくれない。
『才能あると思ってるの?』『小説書くとか変だよ』『作家は一握りの人しか生き残れない!』
言いたい放題に。
バカにして、嘲笑って、格好つけて哲学じみたことを言ってきて。
何もわからないくせに、僕の何を知っている?
なのに、この人は。真面目に図書館に来て、真面目に、僕のために本を選んでくれて。
「小説家目指しているって変じゃないですか?」
僕は聞く。
すると少女はため息を吐き、
「夢を抱くあなたは、好きですよ。夢を抱かず惰性で生きる人よりも。
私は、あなたが好きです。人として尊敬します」
告白みたいなことを言ってきた。
「さ、バカなこと言ってないで借りましょう。小説家を目指すのでしょう、時間を無駄遣いしませんよ」
「う、うん。わかった」
僕たちは、カウンターへ、本を持っていく。
「どうしました? カード、持ってるんでしょう?」
「あ、う、うんっ」
やばい、頭が全く回らない。
違う、さっきのは告白じゃない。人としてって言ったじゃないか!
心に言い聞かせても、いくら必死に言い聞かせても、全く聞いてくれない。
『友情』で終わらせないといけない関係。
済むだろうか、『友情』で。
読んでいただき、ありがとうございました。
甘いけどポップなラブソングを目指して書きましたが、いかがでしたか?
少年が作家になれますように!




