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王都での買い物

 陶芸仲間のドナ、バンス、エリィと共に、私たちは王都へ向かう馬車に揺られていた。目指すは、クレセンス町の工房で教わった品揃え豊富な店だ。ろくろや筆など、陶芸に必要な道具を一式揃えるのが目的だった。

 

 窯の作成を手伝ってもらうため、マッドとジルにも同行を頼むと、二人は快く引き受けてくれた。賑やかな道中、店に着くと、各自必要なものを選び始める。ところが、なぜかマッドまでが次々と品物を手に取り始めたのだ。それを見たジルもまた、同じように買い物を楽しんでいる。

 

「マッドも何か作るの?」私が尋ねると、彼は楽しそうに答えた。

 

「ああ、せっかく窯を作るなら、俺も挑戦してみようと思ってね。建築する上でも役立つだろうし。それに、専門書も売っているようだから、それも買っておかないと」

 

 次にジルに目を向けると、彼はにこやかに言った。

 

「マッド様が作られるのであれば、俺も作らないわけにはいきませんからね」

 

「いや、そんなことはないと思うけど……」そう思いつつも、二人がとても楽しそうなので、私はそれ以上何も言わなかった。

 

 窯について専門家に尋ねると、「素人には難しいから業者に頼んだ方がいい」とアドバイスされた。しかし、マッドは「自分で作りたい」と譲らない。そこで、王都から近い窯元をいくつか紹介してもらい、実際に窯を見せてもらうため、私たちは皆で訪れることになった。

 

 窯作りは奥が深い。火属性の者がいても温度調整は難しく、その日の湿度や温度によっても調整が必要だという。さらに、窯の中の置き場所によって作品の出来が変わり、実際に焼き上がってみるまで結果は分からないらしい。マッドだけでなく、ジル、バンス、そしてドナまでもが真剣な表情で説明に聞き入っていた。

 

 王都に一番近い窯元では陶芸体験ができるとのことだったので、そこでいくつか作品を作ってからタウンハウスへ帰ることにした。

 

「キャロル様は何を作られるんですか?」エリィが尋ねる。

 

「私はみんなの普段使い用のカップを作ろうかと思うの」私がそう答えると、エリィは少し照れたように言った。

 

「私、キャロル様のカップに合わせて、みんなのお皿を作ってもいいですか?」

 

「それは素敵ね!ぜひお願いしたいわ。私は素朴な感じにしたいから、土らしさを出したいのだけど、どう思う?」

 

「ええ、とても良いと思います」

 

 二人で楽しく作業を始めると、隣ではドナが真剣な顔つきで土をこねていた。どうやらドナは私の愛犬ランランの寝姿を作るらしい。きっとすごく可愛らしい作品が出来上がるだろう。

 

 ドナの横で考え込みながら作業しているのはジルだ。見たところ、思うように形が作れずに苦労している様子だが、隣のドナは我関せずといった様子で、自身の作品作りに没頭していた。

 

 バンスは大きな手でろくろを器用に操り、大皿を何枚か作っているようだった。以前よりもその動作は洗練されているように見える。

 

 しかし、最も驚かされたのは、マッドの職人技のような器用さだった。彼はろくろをいとも簡単に操り、思い通りの小さく繊細な花瓶を作り上げたのだ。その出来栄えに、職人さんたちも思わず口を開けて驚いていたほどだ。

 

 今日作った作品は後日焼いて送ってくれるそうだ。今から出来上がりが楽しみで仕方がない。

 

 タウンハウスに到着したのは、既に夜の10時を過ぎていた。

 


 翌朝、6人は窯について語り合い、平均的な大きさの窯を作る計画を練った。マッドとジルだけでなく、バンスやドナも積極的に窯作りに参加するという。もちろん、エリィと私は後方支援で加わることになった。学院山での生活は、これからさらに充実していくだろう。

 

 2日後、私はマリアとレティと一緒にフリーマーケットへ出かけた。

 

 マリアは年代物の万年筆を買い、私は古い生地をいくつか購入した。レティは使いやすそうな手帳を選んだ後、私たち3人は屋台でクレープを買ってベンチで食べた。

 

 私たちから少し離れた場所には、お父様がつけてくれた護衛が3人控えている。今日はドナと男性陣の5人は、冒険者ギルドのクエストを受けて狩りに出かけていた。

 

 15歳未満でも、成人した者が一緒でギルド長の許可が下りればクエストに行けるのだが、私だけはギルド長からの許可が出なかったのだ。マリアとレティは15歳になっているし、エリィもとっくに成人しているから行けるのだが、二人は私に付き合ってクエストには同行しなかった。エリィは戦闘が苦手だと言って、今日は屋敷でのんびり寛いでいる。

 

 なぜ許可が出ないのか詳しく尋ねたところ、「見るからにか弱そうなので責任が取れない」という理由で許可できないと言われた。同じ年齢のドナはなぜ良いのかと聞くと、驚くような回答が返ってきたのだ。

 

「ドナ様に関しては、数々の武勇伝がギルド内で語られております。見た目は可憐でございますが、敵を目の当たりにすると、まるで獰猛な大型獣のように変身すると……」


 それを聞いた私たちは、あながち嘘ではないために、誰もが納得するしかなかった。それにしてもドナは冒険者ギルドで伝説の人扱いで崇められているとは思いもしなかった。


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