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おじいちゃんは族長様です

魔女アイリスの外出は冒険である。

かなりの大冒険である。平穏を望む魔女に限っていつだって何かしらのことが起こる。それがリズである。 

「モロぉ、疲れたぁ。森の散策もたまには良いけど…それより早く本屋さん行きたいよぉ」

歩き始めてどのくらい経ったのか分からない。数分なのか数刻なのか。足がこれ程疲れているのなら…と言いたい所だが引きこもり魔女の体力はたかが知れているため、計算できるに値しない。

「…なら、叫んでみろよ。『早くおじいちゃんに会いたいな』って。そしたら一発だ」

ほらっと促されるリズ。モロの顔にバカにしている様子はなく、もうどうにでもなれ。とばかりに脱力している。

「…ほんとに?」

「ほんとだって。やってみりゃ分かるよ」

普段大きな声を出すことなんかしないリズには少し気が重いし恥ずかしい。でも…本のためならば

「…は、早くおじいちゃんに会いたいな!」

自分にできる力を持って声を出す。それほど大きな声ではないが、モロの言った『叫ぶ』とは言葉のあや。言葉に出しさえすれば、必ず届くはずである。

「こ…これでいいの?」

不安げにモロをみるリズ。

「あぁ。大丈夫だって。あのおやじが可愛い孫娘の声を聞き逃すはずもないし…あ、ほら。迎えが来たぞ」

モロが言う方向には今までになかった道が切り開かれていた。眩しいほどの光が差し込み明らかに出口だと思えるような形である。

「いつのまに?」

リズが首をこてんと傾けるとモロは溜息をつく。

「お前…精霊たちに遊ばれたんだよ。あんまりにもいい反応するし、好かれてるから。遊んで欲しかったんだろ」

「ふぇ!?」

自分が遊ばれたことに始めて気づいたリズ。足を進めながら周りを見ると精霊たちが楽しそうに飛び回っていた。

「楽しかった!もっと遊んで!」

「ごめんね…楽しくて」

「もっと遊んでよ!」

至る所から、声が響く。

「ふぇぇぇ」

リズは目をグルングルン回しながら今にも倒れそうになる。

「おい、お前たち。やめてあげなさい」

どこからか声が響く。その瞬間精霊たちはさっと離れ森の何処かに飛んで行ってしまった。

「やれやれ。リズや、許してやってくれ。お前ほど心地よい存在はそういないのだろう」

そう言って近づいてきたのは白髪の髪に白い衣をまとった年配の男性。

「あ…おじいちゃん!」

「げ…じいさん…」

この森の族長。ネロの叔父である。

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